■WeWork
日本経営合理化協会のシリコンバレー視察では、これまでもいくつかのコワーキングスペース(Co-working Space)を訪問して、そこに入居しているベンチャー企業の話を聞いたが、今回は2010年にアダム・ニューマンCEOとミゲル・マッケルビーCCOがNYで設立し、現在22カ国74都市に253拠点を展開、25万人以上が利用している大手の「WeWork」を訪問した。
WeWorkは、今年ソフトバンク・ビジョン・ファンドが出資し、三井不動産と提携して2月に日本にも参入しており、丸の内、六本木、銀座、新橋など、東京で6ヶ所で既に展開している。
我々は、サンフランシスコ市内のオフィスビル14?21階にある35社1,500人が使っているWeWorkを訪問したが、入居企業、個人はネット回線やデスクなどの他、受付、ITマネジメント、10ヶ所の会議室や深く考えるためのスペース、電話をする狭い個室など、用途別のエリアなどを24時間使えるし、出張などで地方や海外に行った場合、現地のWeWorkの利用も可能だ。
料金は地域によって違い、サンフランシスコは不動産が暴騰しており家賃も高いため、個人が600ドル、ここでは最大の52人が入居する企業の家賃は月51,000ドルだった。
■コミュニティデザイン
コワーキングスペースは、当初はベンチャー企業や小規模企業、フリーランスの個人事業主などが入居する場所だったが、最近、WeWorkにはマイクロソフト、GE、アメックス、HSBC、AirBnBなども入居、スプリントやFacebookの自社所有オフィスの運営なども手がけている。
そのため、いわゆるシェアオフィスによくある机が並ぶオープンスペースは10%で、残り90%は仕切られた施錠可能なプライベートオフィスとなっている。
WeWorkの企業理念は、「ただ生きるためではなく、豊かな人生を送るために働ける世界を創造する」で、「月曜日になって嬉しい」と思える仕事をするためのベストスペース作りのノウハウに秀でており、企業側は、ベンチャーを含めた他社社員とのコミュニケーションや、人脈の広がりにより社員が新たな体験を作って行けることにも期待しているようだ。
WeWorkが特に力を入れているのが「コミュニティデザイン」で、今回訪問したサンフランシスコのWeWorkにも各フロアにコミュニティマネージャーが配置され、日曜ヨガをはじめいろいろなイベントが企画されていた。
また、各所にセンサーが付いており、滞留時間が長い場所や賑わいがある場所などのデータを解析しており、より良いコミュニケーションを生む設計などに生かしているという。
コワーキングスペース(Co-working Space)は、シェアオフィスという段階から新たな仕事場の形に進化し始めたという印象を持った。
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●WeWork