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マネジメント

第8回 「どうしたらエゴを捨て、利他的になれるのか?」

酒井英之の社長のビジョン実現道場

自利と利他

仏教では『利他』という言葉の前には『自利』があります。

『自利利他』でひとつの熟語です。

まず先に、自分を利する(エゴを満たす)。

その後に、他者に喜んでもらう、という意味です。

 

私自身で言えば、50歳までは自利のみで生きて来ました。

25歳で企画した新商品ラベルライターが大ヒットしました。

以来「あのラベルライターを開発した人」という看板を背負いました。

 

私はこの大きな看板に随分と苦しみました。

「一発屋」とか「なんだ、どれだけすごい人かと思ったが、たいしたことないね」と言われることに怯えました。

実際にそう言われたことはありませんが、自分の小ささは自分が一番よくわかっています。

 

そして「さすが、あの商品を作った人だ」と、何とか看板に相応しい人になろうともがき続けたのです。

 

こうしたもがきは、中小企業を受け継ぐ皆さんが抱く「子供だから実力もないのに跡取り」とか「あの会社を継ぐ人だからどれだけすごい人かと思ったが、たいしたことないね」と言われる恐怖と同じかもしれません。

 

その恐怖は、自分を前に向かせてくれます。

「あの人は若いのに良い経営をするね」と言われたい。

それが「もっと学びたい、頑張りたい」というモチベ―ションの源泉になります。

 

が、いくつになってもその恐怖が消えることはありません。

だからこそ10年、20年と学びを重ね、努力し続けることができます。

 

すると、自分の中で足りなかった『自利』が満たされてきます。

そして今度は「自分が継いだこの会社を用いて、世の中にもっと役立てることを考え実践したい」とか「もがき続けてきた自分だからこそ世の中に役立てることがしたい」という欲が出てきます。

 

こうした欲求を、No.1理論で有名な西田文郎先生はこれをマズローの欲求5段階説よりさらに上級の第6段階の欲求だとし『無欲』と命名しています。自分の欲求の中から「自我」がなくなるのです。

 

その気づきに至るのがだいたい50歳ぐらいではないか、私は、自分の経験からも、多くの経営者の経験談からもそのように感じています。

 

いつか利他の境地に辿り着く。

そう信じて若いうちは納得のいくまで『自利』を求めてみてはいかがでしょうか?

 

エゴは捨てるものではなく、徐々に小さくなっていくものです。

逆に利他の精神は、自分の中で徐々に大きくなって行くものです。

 

自分にどんな利他の精神が芽生えるのか、それを楽しみに待ちましょう。

学びを重ね、努力しながら待ちましょう。

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