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製造業

第295号 動作の数を減らす

柿内幸夫─社長のための現場改善

 今回も私の著書「改善の急所101項」から1項を紹介し、実例を挙げて解説します。  

 【急所6】動作の数を減らす。(26頁)

 先回に引き続き、今回も「動作経済の4原則」についてお話しします。
 
 《動作経済の4原則》
・距離を短くする。
・両手を同時に使う。
・動作の数を減らす。
・楽にする。
 
 今回は3つ目の「動作の数を減らす」です。
 
 「えっ! 動作って数えられるんですか?」と思われた方も多いかもしれません。現場で部品を数えることは誰もがしますが、動作を見ながらその数を数えている人はいないですからね。
 
 しかし、もしモノが遠くに取りにくい状態で置いてある場合と、近くに取りやすく置いてある場合を比較すれば、わざわざ取りに行ったり、持ち替えたりという動作は、明らかに余分です。
 
 もし、これらを改善できたら、動作の数が「減った」と言えるでしょう。
 
 では、どういう動作を減らせばいいのか? ということになりますが、もちろん要らない動作を減らします。では、何が要らない動作でしょうか?
 
 まずは付加価値を生まない動作が、その筆頭にあがります。トヨタ生産システムには「動く(うごく)と働く(はたらく)」という項目がありますが、ここでいう「動く」がまさにその減らすべき動作です。
 
 例えば、私が左手に万年筆のボディを持って、右手でキャップをはめる作業をしていたとします。
 
 それぞれの手で部品を取って、お互いを近づけて位置合わせをして、カチンとはめて、完成品を台上に置く。この一連の作業の中で「働く」は「カチンの一瞬」のみで、それ以外は「動く」と分類されるのです。
 
 「カチンの一瞬しか働くと言わない」とはずいぶん厳しいなあと思われるでしょう。しかし、確かにキャップがカチンと音を立ててはまるその一瞬以外は、部品の位置が変化しているだけですから、「動く」なのです。
 
 もちろん、「動く」のすべてが改善で無くせるかというと、そんな簡単なことではありません。しかし、そういう厳しい見方がトヨタ生産システムであり、動作経済の4原則です。
 
 次に減らすべき動作は、例えば「(危ないので)注意する」とか「(うるさい音が)気になる」といった意識的・メンタル的なものです。
 
 意識ですから動作としては認識されていないかもしれませんが、私はこれも動作と考えます。現場で働いている方々の中には、この部分で特別な注意を払ったり我慢して慣れてしまう傾向があります。
 
 責任感があってのことなので悪いと言いにくいのですが、やはり条件を改善してそれらの動作をなくすることが大切です。付加価値が付かないだけでなく、疲れるし品質不良や事故につながるからです。
 
 動作改善は誰でもできることなのに、とても大きな成果が出ないとあまりやる気にならず、ついついムダを放置してしまうこともあるかもしれません。しかしそういうザクッとした見方でなく、一つでもいいから動作の数を減らそうと言って、毎日その一つを見つけて改善するのです。
 
 実は本日、M社の改善会でこの宣言をしてみました。ついつい見逃しがちであった動作のムダが驚くほど抽出され改善されました。
 
 コンサルタントの私や上司が重箱の隅を楊枝でほじくるみたいなことをやっても皆さん全く聞いてくれなかったのですが、みんなでやろう!そしてすべてチョコ案にしてね!!というルールでみんなでやりました。
 
 全員でお互いの仕事の隅を楊枝でほじくりあいました。パート従業員のTさんが小声で「あんまり自分たちで改善しちゃうのもどうかと思うけど、これ面白いね…」とおっしゃったのが印象的でした。
 
 「そうかぁ、やっぱり現場の方にはかなわないのか…」動作経済の4原則に関して、私はこの頃いつもこう思わせられています。みんなでやりましょう!
 
 
 
 
 
 
 

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copyright ゆきち先生 http://yukichisensei.com/

 

※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。etsuko@jmca.net 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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