世界のファミリー企業(オーナー企業)向けの雑誌を発行しているキャンプデン社が、大手会計事務所等の協力を得て、世界の冠たるオーナー企業「40歳未満次世代リーダーのトップ40人」を発表した。彼らの現ポジションは既にCEO(最高経営責任者)であったり、部長であったりとさまざまなのだが、以下の基準により選ばれている。
1)アントレプレナーとして顕著な才能を発揮している 2)ファミリー企業成功の基盤となる方針・文化を守っている 3)新しい分野で業績をあげるなど、ファミリー企業のダイナミズム創造に特別なスキルを発揮した
最近送られてきた創刊50号で彼等が写真入りで紹介されている。世界一の鉄鋼メーカーになったインドのミタル社CFO(最高財務責任者)アディテヤ氏は35歳、フィアット会長で大手投資会社エクソールのCEOジョン・エルカン氏(イタリア)は若干34歳。バージングループ会長リチャード・ブランソンの娘ホーリー・ブランソン氏は医者となって、グループのヘルスケアー部門進出を担う29歳。この40人の中に日本人は含まれていない。
ファミリー企業の世界会議に日本人は余り出席しないので選考に洩れてしまうのだろうか。或いは上記3条件を満たす若手リーダーが日本のファミリー企業にはいないとでもいうのだろうか。
彼等の経歴を見ると、著名大学MBA取得者が多い。単なる継承ではなく、グローバルなビジネス展開を目指す上ではケーススタディー中心のプログラムは強みを発揮するし、また有名大学のMBAは即国際人脈につながるのである。
入社前の経験はとみると投資銀行(証券会社)のキャリアを持つ人が目についた。世界をみすえて戦う上で企業買収やリストラクチャリング等、世界をみすえた戦略的思考ノウハウを身につけるのに役立つのだろう。そして自社入社後の経歴をみるとMAを担当したり、新規事業開拓、社会貢献組織づくりなどで新しい風をふきこんでいることが伺える。
彼らは疑いもなくエリートであり、エリートしての教育を多分幼少時から受けてきたのだろう。日本にはないシステムである。我が国のリーダー不在の惨状にみるにつけ、日本に欠けている大切なものの一つがエリート教育だと思わざるをえない。
8月にインド・バンガロールでドイツの友人と数日過ごしたが、どこからみてもエリートである彼女の日々心がけていることは「社会や人に貢献すること」、そして「絶えず自分自身の成長を図ること-自分磨き」だと言う。エリートの志の高さをみる思いであった。
ファイナンシャルアドバイザー