お客様:60代の男性(無職・ご主人)
お申し出方法:お電話
お申し出日時:水曜日の14時
商品:日焼け止めクリーム
受け付けた窓口:メーカーである化粧品会社のお客様相談室
主なお申し出内容:
「○○○という成分がこの商品には配合されているようだが、その○○○は7年前くらいは、
配合してはいけない原料だったと思うが、薬事法で許可が出たからといっていきなり配合
するのは安易ではないか?どれだけ危険な原料か理解しているのか」と突然まくし立てられた。
担当者は、「問題のない成分だからこそ、配合しております。ご安心ください」と丁寧に伝えたが
「どのように安心なのか、じゃあ7年前まではなぜ危険だと言われていたのかを説明してください」と求められた。
「専門の者でないとそこまではご説明できませんので、改めてお電話をいたします」と言うと、
「それじゃあ、なぜ今、あなたは、ご安心くださいと言ったのか?よくわからないなら、
そんな無責任なことは言ってはいけないのではないか!」と怒り始めた。
「私共としましては、いろいろな検査やテストをし、薬事法を
ふまえて製品を販売しておりますのでご信頼いただくしかございません」
と返答をしたが、興奮が高まるばかりで、結局、上司に代わってもらうことになったが、
上司も終結させることはできず、後日改めてご連絡することになった。
求めたいアドバイス:
このように自分の知識が正しいと思い込んでいる年配の方には、自社の商品がきちんと
したものであることをどのようにお話しし、理解をしていただいたら良いのでしょうか?
アドバイス:
(1)「7年前くらいは、配合してはいけない原料だったと思うが、薬事法
で許可が出たからといっていきなり配合するのは安易ではないか?」
という問いかけで、このお客様は専門力をお持ちでいらっしゃることがわかります。
(2)専門力のある方に、ありきたりな説明をしてはいけません。必ず、言葉で報復されます。
なぜなら相手のほうが、専門知識レベルが高いのだから、または自分の方が専門知識レベルが
高いと思っていらっしゃるのだから、こちらの説明にカンタンには納得をすることはないのです。
(3)「7年前くらいは、配合してはいけない原料だったと思うが、薬事法
で許可が出たからといっていきなり配合するのは安易ではないか?」と言われた瞬間、
「とおっしゃいますと、専門家の方でいらっしゃいますか?」
と相手の自尊心をいきなり高める言葉を言うことがとても大切です。
「いや~ちょっと、その関係の仕事をしていたもので・・・」とおっしゃってくだされば
「それでは、むしろ教えていただかなければいけません。お感じになったことをお聞かせください」
とお客様の、持てる知識をたくさん披露していただき、自分たちも学びましょう。
(4)私の経験から言いますと、年配の専門力のある方には、甘えるべきです。
「私がお客様にご説明するなんて、恐れ多くて・・・むしろ、教えていただきたいです」と、
説明をするタイミングをショートカットする方向で対応することをお勧めします。
説明力では、知識の多い人には勝てませんから。
(5)ご自分の力を試してみたい、ご自分の力を知ってもらいたい方たちの思いに応えることが大切です。
(6)ただ、あまり「教わる姿勢」でばかりいると、会話が長くなりますので、20分程度で1回、
「わ~、もっとお聞きしたいのですが、ほかのお客様のお電話が・・・」とこれ以上聞いている場合
ではないことをお伝えしましょう。このことが失礼ではないかと考えているとしたらそれはまちがい。
企業は企業の意思を伝えましょう。1回でダメなら、2回でも3回でも。丁寧な言葉で。
「ほかのお客様がたくさん、長い時間お待ちで、お困りでございますうううう・・・」とあなたも困りましょう。
きっと、「そうか、そうか、それじゃあ、がんばってな」と言ってお電話を切ってくださいます。
※用いた事例は、実際事例ではなく、よくある事例を基本にして、講師が、独自に作成した事例であることを
ご了承ください。