図1の通り、トヨタは12年9月48.9%減、10月44.1%減、日産はそれぞれ35.3%減と40.7%減、ホンダ40.5%減と53.5%減、マツダ35%減と44.9%減を記録した。中国市場における日本車のシェアも反日デモ発生前の19.4%(2011年)から2012年の16.4%へ急落した。
ここ3年の中国市場における国別乗用車のシェアを調べたら、驚くほど面白い事実が浮き彫りになる。それは中国消費者の行動は愛国主義と無関係であることだ。
図2に示すように、2011年、中国国産車の市場シェアは42.2%だったが、反日デモが発生した12年に増加するどころか、逆に41.9%へ低下した。13年にこのシェアはさらに40.3%まで下がった。つまり、反日デモ以降、中国の消費者は確かに日系車を敬遠したが、自国産の車にシフトする選択もしなかった。国産車の市場シェアは愛国主義のスローガンと連動せず、増加するのではなく減少だった。
それでは、日系車を敬遠した中国消費者の目はどこに向かっかだろうか。ドイツの車、米国の車など日本以外の外国車である。ドイツ車のシェアは2011年の16.5%から12年18.4%、13年に18.8%へ上昇し、米国車も11%から12.4%へと増加した。微増ではあるが、韓国車もフランス車もシェアを拡大した。
言い換えれば、中国の消費者の行動は愛国主義的な世論形成とは無関係で、品質と技術及びデザインが良い外国車好きの傾向には変わりがない。
残念ながら、今すぐに日中関係が改善するような兆しは見えてこない。だが、永遠に悪化し続けるということはありえない。これまでの経験則から言うと、必ず何かのきっかけで改善に向かう。
二国間関係というものは振り子のようなもので、一方への振れ幅が大きいと、振り戻しも大きいものになる。つまり、次に日中関係が改善されるとき、日中の経済交流は爆発的に増える可能性がある。今は、夜明け前の時点と思っておいたほうがいい。日本企業はこの様相を見誤ってはならない。品質、技術及びデザインの改善を怠らなければ、中国の消費者は必ず戻ってくる。