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第70回 キャッチーな料金システムで集客する 「原価BAR」

「社長の繁盛トレンド通信」

 ◆原価BAR◆ 


「キャッチーな料金システムで集客する」

『原価BAR』と書かれた赤い看板が目印。五反田駅のホームから見える、立地の良さも同店の強みのひとつだ

本格的な自家製料理も材料の仕入れ値で提供する。1番人気の『自家製ローストビーフ』は300円。『つぶ貝のガーリックバター』は210円というリーズナブルさ

 

 

「激安居酒屋とは違う」ことをはっきりさせるため、本格的なバーの雰囲気を出すことにこだわっているという

同店では「原価割れセール」と銘打って、日替わりでドリンクを格安提供。リピーターを飽きさせない工夫になっている


1,000円飲み放題、全品280円均一、自分で料理をする居酒屋……。デフレの流れに合わせて、多くの飲食店が安さ、お得感を売りにして競っている。こうした潮流の中で新たに登場したのが東京・五反田にある『原価BAR』だ。
 

店名のとおり、客はお酒と料理を“原価”で好きなだけ楽しめる。カクテルは一杯90~150円が中心。普通のバーであれば一杯2000円はする、『ヘネシーXO』のような高級酒もここでは600円で味わえる。

もちろん原価で提供していれば店の経営が成り立たない。そこで同店では入場料制というユニークな方式を取り入れている。客は入店時に1500円を支払い、その分が店の利益となる仕組みだ。

明確でわかりやすい店のコンセプトを掲げつつ、低価格設定。いわゆる激安居酒屋とは異なる本格的な酒と料理が楽しめることから、クチコミで話題になりオープン一ヶ月ほどで一気に客足が伸びた。今では平日はほぼ満席。近くのビジネスマンたちが足繁く通う人気店となっている。
 

オーナーはバーテンダーの横山信夫さん。10年前からショットバーを経営していた。その中に原価BARをオープンするヒントがあったという。

「近年、価格がネックになって飲みたいお酒があってもなかなか手が出せない、というお客さんが増えていると感じていた。そこで、もっと多くのお客さんがいろいろなお酒を気軽に楽しめる環境を提供したいと思ったんです」
 

1500円という入場料については、客単価を3000円と想定しその半分を利益と考えて設定したという。

「先に店の利益を確定して、あとはお客様の予算内で自由に楽しんで頂くという発想です。現在の客単価は3,200円ほど。入場料を引いた1,700円分を原価で飲食できることになります。1,700円あれば10品は注文できる。お酒と料理のクオリティもいわゆる激安店に比べて高いので、3,000円の満足度がケタ違いに高いというわけです」
 

一般的な飲食店は原価率30~40%と言われるが、同店は原価率が約50%。利益が低くなった分、来店客数を増やすことで従来の飲食店以上の利益をあげている。お客に長居をされると利益率が落ちることになるが、心配はないそうだ。

「安い料金であれもこれも、と飲んでいるとどんなにお酒に強い方でも3時間もいれば酔われてしまう。思われているよりは、回転はいいんです」
 

チャージ料、原価率3割といった料金体系がバーの常識。そこから離れ、原価での提供と入場料制というわかりやすく、かつ“お得さ”を感じさせる仕組みを導入したことで、同店はまったく新しいバーをつくりだした。従来の料金システムを見直すだけで、まだまだ新しいビジネスをつくりだすことはできそうだ(カデナクリエイト/須貝俊)

◆社長の繁盛トレンドデータ◆

『原価BAR』
東京都品川区西五反田2-5-8 野津ビル2F
TEL/FAX:03-6417-9909
http://www.genkabar.jp/

 

 

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