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不動産

第77回 「 共用竪排水管 」は「 鋳鉄管 」が一番良い。

売れる住宅を創る 100の視点

今回は前回と同じフェーズ8の「 モノづくり 」です。その第4項目の『 ハード面の重視 』25項目中の第11項目である『 「 共用竪排水管 」は「 鋳鉄管 」が一番良い。 』に関してのお話を致します。

前回はフェーズ8の「 モノづくり 」に於いて、住まいの『 ハード面の重視 』の大切さを認識して戴く目的でこのコラムに於いて25項目用意致しました中の、第10項目の『 間仕切壁に手摺設置や家具転倒防止金物設置用の下地が必要。 』の御説明を致しました。
 
今回は分譲マンションのハード面やソフト面の良し悪しに依って特に売主の会社の「 モノづくり 」に対する姿勢が問われています、マンション住戸の生活排水の経年劣化に依る詰まり防止や、排水流水音の遮音性を高める為に「 共用竪排水管 」の材質の重要性に関して『 「 共用竪排水管 」は「 鋳鉄管 」が一番良い。 』を皆様に詳しく御説明致します。
 
さて、今回も建築家として、私が最も得意とする「 モノづくり 」における重要な「 こだわり 」の御説明であります。
 
今回も、分譲マンションの「 モノづくり 」に対する「 こだわり 」に於いて売主が入居者( 購入者 )サイドに立った商品を製造・販売しているか否かが購入者にとってとても大きな判断基準になりますので、私の今迄の経験を通して御説明を致します。
 
いつも、このコラムで、申し上げていますが、この処の準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーの傾向を見ますと、良い商品を作って分譲している良心的なディベロッパーと、販売力の強さや数字のみに頼って分譲マンション等を企画・販売していますディベロッパーとの「 2極分化 」がかなり進んできております。
 
現在、販売力の強さと数字のみに頼って販売しているディベロッパーに於いて、かなりの苦戦を強いられ、その結果売れずに竣工後1年以上の在庫住戸がかなり多いのが現状です。
 
更に、不動産業界は益々資本主義の原点である「 弱肉強食 」的傾向が強くなり「 超大手、大手ディベロッパーの寡占化 」がどんどん進み、その結果、準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーが超大手ディベロッパーに吸収合併されております。
 
準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーが、これらの会社と独立独歩で対峙し勝負するには是非、分譲予定物件の「 モノづくり 」にはトコトン「 こだわり 」や「 誠意 」を持って商品を作る事がとても大切だと思います。
 
また、その様な分譲マンションを供給しなければ生き残れないでしょう。その様な社風にしなければ顧客が売主の「 こだわり 」や「 誠意 」を敏感に感じとり購入意欲が湧きます。そして入居後もクレームの起きない良い商品を作る事で知名度も上がります。
 
例えクレームが起きましても迅速に誠実に対応すれば「 雨降って地固まる 」で誠意や信用度が回復できます。
 
誠意が感じられ入居後もクレームの起きない良い商品を作り続ける事に依って潜在顧客の信頼を勝ち取り、その結果、不動産業界や一般社会に於いて良い評判を立てる事が生き残る道です。
 
これらの事を継続されていれば、自ずと会社の信用度が高まり「 ブランディング形成 」( ブランドを高める事 )に結びつき「  超大手、大手ディベの寡占化  」に楔( くさび )が打てます。
 
準大手ディベや中堅ディベも 超大手、大手ディベに対峙し対等に勝負できる良い会社になると私は確信しています。
 
そして、それを継続し、魅力的なクレームの起きない良い商品作りを続けていけば、準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーは不動産業界だけでなく、一般の社会に於いて会社名や「 ブランド 」名の知名度も上がり販売におおいに寄与すると確信致しております。
 
ですので、今回の私のコラム77号『 「 共用竪排水管 」は「 鋳鉄管 」が一番良い。 』を参考に「 モノづくり 」を継続する事に依って不動産業界の中で超大手や大手ディベロッパーと同様か又はそれ以上に世間は評価致します。それでこそ、準大手や中堅ディベロッパーが生き残れる唯一の道だと私は確信しております。
 
「 継続は力なり 」です。そして常に事業主の会社は、先程も申し上げましたが「 誠実に勝る近道無し 」を心がけて戴きたいものです。
 
その様になる為にも、今回のタイトルの「 モノづくり 」第4項目の『 ハード面の重視 』25項目中の第11項目であります『 「 共用竪排水管 」は「 鋳鉄管 」が一番良い。 』の内容は分譲マンションに於いての商品企画・基本計画段階で住戸のインフラの強化や、排水流水音対策の良し悪しに関しての判断基準です。
 
ですので、とても重要な事なのです。特に前回同様に今回の内容も売主の評価に多いにつながる事ですのでとても大切な事柄なのです。
 
手前味噌になりますが、今回も私が今迄約30年以上手がけました新規分譲戸建や新規分譲マンション等の設計業務、工事監理業務や設計監修の経験に基づいた大変貴重なお話なのです。
 
準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーの方々はこれから進める、分譲マンションの商品企画・基本計画時点に於いて、今回のコラム77号の内容を良く理解して新規分譲マンションに取り入れて下さい。
 
特このコラム内容は分譲マンションの購入者( 入居者 )が「 共用竪排水管 」の材質に依る生活排水の経年劣化対策や排水流水音の遮音性対策を重要視している部分なのです。
 
そして、これも常に申し上げていますが、建売戸建や分譲マンションの計画時点で実行して戴きたい事が有ります。私が今までの設計業務や設計監修業務の経験を踏まえて申し上げたい事は、準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーは、絶対に『 製販一体 』の体制で商品企画を行う事です。
 
建売戸建や分譲マンション等の商品企画会議では製造部門と販売部門が一体になって戴きたい事です。その理由は販売部門が顧客の生の声を商品企画会議で発言して製造部門に伝え、その内容が良ければどんどん商品企画や商品内容等に反映できるからなのです。
 
更に、今回の『 「 共用竪排水管 」は「 鋳鉄管 」が一番良い。 』の必要性の内容が具体的に販売部隊の方々も良く理解できますので、顧客に対して自信を持って説明できるからなのです。
 
前置きがいつも長くて申し訳ございません。さて、今回は住戸の入居者の高齢化対策や安全性対策に関する『 「 共用竪排水管 」は「 鋳鉄管 」が一番良い。 』をこれから具体的に御説明致します。
 
新規分譲マンションでは「 共用部分 」である「 共用竪排水管 」に於いて、今後の経年劣化防止対策や排水流水音の遮音性を高める対策が必要になります。
 
具体的に申し上げますと、マンションの住戸内には通常、上階下階を竪に通っている排水管が2~3本有ります。これを「 共用竪排水管 」と呼んでおります。上階の住戸が流した生活排水や汚水が下に流れる重要な排水管です。
 
分譲マンションに於いてこの「 共用竪排水管 」の材質を見れば事業主の質の判断をされてしまいます。
 
「 共用竪排水管 」の材質には「 耐火被覆二層管 」「 塩ビライニング鋼管 」や「 鋳鉄管 」(ちゅうてつかん)と3種類有ります。
 
まず「 共用竪排水管 」に耐火被覆二層管を使用していたら、そのマンションの購入検討を専門家がチェックしましたらNGになる可能性が高いのです。その理由は「 耐火被覆二層管 」とはどういう物かと簡単に説明致しますと塩化ビニール管の外側にワイヤーメッシュを巻いてモルタルを塗りつけたものです。
 
この「 耐火被覆二層管 」が「 共用竪排水管 」に使われていますと遮音性がとても悪いのです。上階の住戸が夜中トイレを使って水を流すとかなりの流水音が聞えてきます。
 
この「 耐火被覆二層管 」を「 共用竪排水管 」に採用された場合、遮音対策に遮音ゴムシート巻きや、グラスウール巻きをしてもこの遮音対策は気休めで、夜中静かな時に上階のトイレの排水を流す音がかなり聞こえてきます。この事は分譲マンションのクレームでは重要な部分です。
 
また「 共用竪排水管 」は人間の血管と同じ様に何年も経つと管の内側にコレステロール状のゴミが付着して実際の排水の通る穴の直径が細くなります。そういたしますと、風呂桶の栓を抜いて汚いお湯を流してもだんだん排水に時間がかかってきます。
 
この様に「 共用竪排水管 」の内側がコレステロール状ゴミで内径が細くなりますと大規模修繕の時点で「 共用竪排水管 」の交換工事が必要になり、入居者の負担が大きくなるのです。
 
それに比べて他の2種類の「 共用竪排水管 」では砂を含んだ水で高圧洗浄し、コレステロール状のゴミを削り取りが可能です。その後、管の内側に塩化ビニールを吹付け保護致します。
 
処が、 耐火被覆二層管ではこのメンテナンスができないと言われております。理由は高圧洗浄の圧力に管が耐え切れないからです。
 
ですのでの「 共用竪排水管 」の交換しか有りませんが、先程も申し上げました様に、この費用は莫大です。管理組合で貯めておいた修繕積立金では不足になり、更に各住戸に費用負担を強いらなければなりません。
 
次に「 共用竪排水管 」に「 塩ビライニング鋼管 」を採用しているマンションは前回の「 耐火被覆二層管 」を採用しているマンションよりはマシです。多くの大手、二流のマンションディベロッパーがこれを採用しています。
 
ここで「 塩ビライニング鋼管 」とはどういう物なのかをお話いたしましょう。塩ビライニング鋼管とは鋼管の内側に塩化ビニールを塗布した管です。
 
この「 塩ビライニング鋼管 」は鋼管の肉厚が「 鋳鉄管 」より薄いので遮音ゴムシートを巻いても、やはり夜中に上階の住戸がトイレの水を流すと結構聞えてきます。しかし上記でお話した「 耐火被覆二層管 」よりは遮音性が良いのです。
 
遮音性能は重量に比例して高くなりますので「 耐火被覆二層管 」よりは「 塩ビライニング鋼管 」
の方が重量は重いので遮音性が高いのです。
 
「 共用竪排水管 」に「 塩ビライニング鋼管 」を採用した場合には鉛入り遮音ゴムシートを巻いてその周りにグラスウールを更に巻きますとかなり遮音性は高くなりますがやはり「 鋳鉄管 」にはかないません。
 
「 塩ビライニング鋼管 」は二流のマンションの「 共用竪排水管 」に多く使われています。
 
最後に「 共用竪排水管 」では最も良い「 鋳鉄管 」(ちゅうてつかん)のお話を致しましょう。
 
「 共用竪排水管 」に「 鋳鉄管 」を採用しているマンションは一流ディベロッパーの証です。大手ディベロッパーでも「 共用竪排水管 」に「 鋳鉄管 」を採用している会社は少ないのです。再度申し上げますが、良心的なディベロッパーの証しです。
 
では「 鋳鉄管 」とはどういう物なのかのお話を具体的に致しましょう。「 鋳鉄管 」とは読んで字の如く鋳物の鉄管で管の肉厚が厚いのです。
 
ちなみに先程の「 塩ビライニング鋼管 」の鋼管の管の肉厚より約1.5ミリ厚いのです。この厚みの違いは「 共用竪排水管 」に於いてとても重要なのです。
 
「 鋳鉄管 」は管の肉厚が厚いので耐久性が良く、また遮音性が高いのです。先程もお話致しました様に遮音性能の高さは重量に比例致します。ですので鋳鉄管は重いので遮音性能がとても高いのです。
 
更に耐久性が有るので管の中にコレステロール状のゴミが溜まった時に砂を含んだ水で高圧洗浄を何回もできるのです。
 
「 共用竪排水管 」に「 鋳鉄管 」を採用し、鉛入り遮音ゴムシートを巻いてその周りにグラスウールを更に巻きますと遮音性はかなり高くなり上階からの排水音は全く聞えてきません。
 
「 鋳鉄管 」は一流のディベロッパーのマンションに多く使われています。ですので販売事務所で「 共用竪排水管 」の材質の質問が有った場合に、販売員の回答が「 鋳鉄管 」ですと、そのマンションの耐久性や遮音性にかなり配慮されていると推測されます。
 
この様なところにも配慮が行き届いている売主は信用される事と存じます。
 
この様な個所の材質チェックに於いて購入者の方々はあまり気にされない所ですが、入居後具体的にディベロッパーの良さが実感できますので商品企画時点で採用して下さい。
 
今後は、これらの設置有無に依って売主の誠意が判断されます。
 
今回のコラムでは『 「 共用竪排水管 」は「 鋳鉄管 」が一番良い。 』の御説明を致しましたが、この事も前回と同様に分譲マンションを作る上でとても重要で大切な事ですので、是非共実行して戴きたいと存じます。
 
超大手や大手ディベロッパーだけが一流とは限らないと常に私は言っております。
 
超大手や大手ディベロッパーに於いても「 共用竪排水管 」の材質に「 鋳鉄管 」を採用していない会社が数多く有ります。
 
私の建築的価値観では一流と評価できますのは数社しか有りません。ほとんどが三流なのです。
 
一流のディベロッパーは購入者( 入居者 )への配慮が行き届いたマンションを供給しています。
 
何度も申し上げています様に、不動産の分譲事業で一番大切なのは売主の信用と顧客に対する配慮です。準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーにとって「 超大手、大手ディベロッパーの寡占化 」に対抗し勝つ為には顧客への気遣い及び将来クレームが生じないマンションを作り続ける事なのです。
 
ですので、毎回何度も注意を促していますが、商品内容の質やクレーム等で信用を落とすのは一瞬です。再度信用を築くには最低10年はかかります。この事もよく肝に銘じて下さい。
 
次回はフェーズ8の「 モノづくり 」第4項目の『 ハード面の重視 』25項目中の第12項目である『 キッチン動線は多い方が使い易い。 』に関してのお話を致します。
 
次回も期待して戴ければ幸いと存じます。 以上。
 

 
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次回も期待して戴ければ幸いと存じます。
 
                                                                       以上

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