ブラジルには現在150万人の日系人が暮らしており、今回の視察でも4人の日系人経営者にお会いしてお話を伺ってきた。
いずれも農業移民としてブラジルに渡り、コーヒー園での仕事から出発し、様々な苦労を乗り越えて成功を収めている一世、二世の方々だが、それぞれに味わい深いお話をされていた。
■サクラ中矢食品
ブラジルでシェア90%を誇るサクラ醤油は、小麦の代わりにトウモロコシを使い、遺伝子組み換えをしていない大豆やトウモロコシを使っていることが特徴の醤油を製造販売している。
そのため小麦に含まれるグルテンによるアレルギーが多いヨーロッパからも引き合いも多く、日米欧など幅広い場所で売られている。
遺伝子組み換えをしていない大豆やトウモロコシを原料にしていることも特徴だが、そのために1年分の在庫を持たなければならないとのことだ。
中矢社長は愛媛県からの移民二世だが、昔は日本人のいる街には醤油や味噌を作る所が必ずあり、30件ぐらいはあったのだが、1970年代に跡継ぎがなくてやめた所が多く、現在はサクラの他、マルイチ、ヒシダ、キリンビール系の東山(とうざん)などがあるし、キッコーマンも入ってきている。
中谷社長は、ブラジルでのビジネスのポイントは、法律を詳しく調べる必要があること、マーケットを研究してブラジル人向けに他とは違う特別のものを提供する必要があることだとおっしゃっていた。
■MNプロポリス
プロポリスの生産量、品質で世界一のMNプロポリスは、1965年に22歳でブラジルに渡った松田社長が農業、工業を経て1982年に創業した会社だ。
松田社長は「移民は片道キップ、移住は往復キップ」と言っていたが、「ブラジルに来てコーヒー園での苦労もあった、ハイパーインフレもあった、盗難、強盗などにも遭って来たが『それもブラジル』」と前向きに考えている。
インフレ時代はドルで借りてドルで返したし、中小企業育成法の金もどんどん借りたが、ブラジルではいかに節税するかが大切で、人より先に何かやることも必要だという。
蜂蜜、花粉、プロポリス、焼酎やワインなどのアルコール類も製造、販売していて、海外の販売先は日本をはじめ、イタリア、スペイン、フランスなどのヨーロッパで、中国や韓国の売上が最近伸びている。
食品分析を行う研究所もやっていて、ここは博士である松田社長の奥様が率いているが、30数人の従業員中、男は3人のみで女性が向いているという。
松田社長は75歳をすぎているがまだ夢を追っており、県人会の発展、養老院に行く人のケア、町おこしなどをやりたいと考えている。
======== DATA =========
●サクラ中矢食品
http://www.sakura.com.br/
●MNプロポリス
http://www.mnpropolisloja.com.br/
●MNプロポリス(日本語)
http://www.tosyobussan.co.jp/mn-corp/index.html