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人間学・古典

第79講 「帝王学その29」
第一に清畏せよ。 人の知らんことを求むることなかれ。

先人の名句名言の教え 東洋思想に学ぶ経営学


【意味】
第一に清廉謙虚(セイレンケンキョ)を心がけて、自己宣伝に走るな。



【解説】
「宋名臣言行録」からの言葉です。
謙虚さが美徳とされてきた日本人社会でも、宣伝時代を反映し自己の売り込みが盛んになってきた傾向があります。しかし必ずしもプラス面ばかりではありません。売り込みを急ぎ器量不足のままの自己宣伝では、欠陥商品と同じで自分の欠点を宣伝する羽目になり、却って信用を落とすことにもなりかねません。政治家などが時流に乗って一期目を運よく当選しても、任期中に器量不足が露呈して二期目の当選がおぼつかないのは、この例です。

この種の自己宣伝の人ほどではありませんが、性格が良くて付き合いが多い者や異性にもてる美系の男女も、若い時のにぎやかな生活環境に浸っているうちに、器量不足の自分を世に晒す危険があります。
人間の生来の才能や親譲りの美貌は、年齢と共に価値が薄れ自然に衰えますから、この衰え部分を補充するための年代相応の器量鍛錬が必要になります。このように述べますと非美形男の僻みと思われるかもしれませんが、人間学の視点からこの種の人々の世代相応の人生成長度を観察しますと、自己鍛錬の不足が目立つこともしばしばです。

自己鍛錬には「残余期間から逆算した今」を意識することが重要になります。
子供のころの夏休みを思い出してください。休みに入ったばかりは、その長い休みが永遠に続くかのような錯覚を覚え、面倒な宿題などは後回しにしても大丈夫という気の緩みが生じます。しかしお盆が過ぎて残りの日々が少なくなりますと、“あと何日”という緊張感が生まれ、この緊張感が後押しをして難攻不落の宿題の山を崩すことができます。
この逆算からの緊張感を活用する方法を、我々の「人間学読書会」では『今:逆算法』といっています。

曹洞宗(ソウトウシュウ)開祖の道元禅師(ドウゲンゼンジ:1200~1253)の言葉にも「志至らざることは、無常を思わざる故なり」とあります。無常とは残された日々の消滅ですから、志が実現できないのは、無常の確認(消滅する日々の確認)を怠っているからだと述べています。逆からいえば、残余の日々を絶えず確認すれば、自ら意志薄弱と自己卑下をしなくても、自然に生ずる緊張感から目標の達成ができるという極めて自然の感情を活用した成就法です。

改めて『今:逆算法』の思想観を調べてみますと次のようになります。
    ○人間学読書会・・・・「逆算の 残りし日々に 緩みなし」(巌海)
    ○仏教の曹洞禅・・・・「志至らざることは、無常を思わざる故なり」(道元)
    ○芭蕉の俳句世界・・・「やがて死ぬ 気色も見せず 蝉の声」(芭蕉)

 

杉山巌海

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