2024年のキーワードに「イマーシブ=immersive(没入感)」が挙げられていた。
アップルの「空間コンピューティング」を実現する「Vision Pro」が2月2日にアメリカで発売、観客が演劇の中に入り込む新しい鑑賞体験ができる「イマーシブ・フォート東京」が3月1日にオープンすることなどから、「没入体験」が広がってゆくと予想されたためだ。
実際にこれらを体験してみると、年初に予想されたように「2024年はイマーシブ元年」といってもいいのではないかと感じた。
■アップル・Vision Pro
アップルが発売したゴーグル型ヘッドセット「Vision Pro」は、デジタルコンテンツを現実の世界と融合させた世界初の「空間コンピューティング」機器で、アプリをディスプレイの枠から解き放って空間に「置いてゆく」ことができ、こちらの部屋では映画鑑賞、こちらの部屋では表計算ソフトで経理業務、こちらの部屋ではwebでの調べ物など、現実の空間ごとに作業(仕事)を切り分け、歩きながら考えをまとめたりできる。
操作も手指や目線の動き、Siriによる音声入力で直感的にできてとても快適だ。
没入感を調節できるダイアルを使ってゴーグル内の映像に浸れる「イマーシブモード」にすると、片目だけで4KTVを超える高精細ディスプレイ(合計2,300万ピクセル)と立体音響機能により、音に包み込まれるような感覚を体感でき、映画や旅行ビデオなどでは現実世界にいるような臨場感を味わえる。
最初のiPhoneが2007年にアメリカで発売になった時と同様に、まだまだ改良すべき点は多くあり、価格が3,499ドルと50万円以上の高額だが、機能性と革新性を考慮すれば、新しいテクノロジーをいち早く体験できるものとして注目すべきだ。
■イマーシブ・フォート東京
お台場の旧ヴィーナスフォート跡地にできた「イマーシブ・フォート東京」は、ホラー、ミステリー、アクションといった多様なジャンルの映画、アニメ、ゲームの世界に入り込むことができるアトラクションがある、没入体験のみに特化した世界初のテーマパークだ。
私は「ザ・シャーロック -ベイカー街連続殺人事件-」に参加してきたが、19世紀のロンドンを舞台にした、ミステリーの世界を歩き回る48人の登場キャラクターに混じって物語の中で自由に動き回り、登場人物から話しかけられて役者側になるなどの体験もでき、大変楽しめた。
仕事にもエンターテイメントにも今年から「イマーシブ」要素が入ってきそうだ。
======== DATA =========
●アップル・Vision Pro
https://www.apple.com/jp/newsroom/2023/06/introducing-apple-vision-pro/
●イマーシブ・フォート東京
https://immersivefort.com/