日本が生んだQRコードはいろいろなことに活用され、世の中が変わり始めている。
中国で多くの人が使っているWeChat PayやAliPayを始め、世界中で使われているQRコード決済は、コロナ禍をキッカケに日本でも急速に普及して、キャッシュレス社会を大きく進める原動力となっている。
ポスター、雑誌、書籍などの印刷物、テレビ放送画面、各種製品、チケットなど、最近ではどこにでもQRコードが付いているが、スマートフォンの普及によりQRコードをつけておけば、モノ(アナログ)とwebなどのデジタル世界がつながる。
QRコードは、1994年に自動車部品メーカー・デンソーの開発部門が発明した二次元コードで、自動車部品工場や配送センターでの利用を念頭に開発されたため、一部が破損したり汚れていても正確に読み取れるため便利だ。
■「ヴォーグ・ジャパン」リニューアル
世界各国で発売され、130年以上の歴史があるファッション誌「ヴォーグ(VOGUE)」の日本語版「ヴォーグ・ジャパン」が、「デジタルシフト」を掲げて10月号(9月1日発売)からリニューアルされた。
今年1月に編集長に就任したティファニー・ゴドイ(Tiffany Godoy)氏は20年前に来日、ゲーム、ヴァーチャル、メタバースなどにも詳しく、今回のリニューアルでは日本のアイデンティティを表現する方針を打ち出し、日本語ファーストの紙面となっている。
表紙には、デジタルテクノロジーとファッションの結びつきの象徴として、アップルの創業者スティーブ・ジョブズの長女でモデルのイブ・ジョブズ(EVE JOBS)を起用、表紙のQRコードを読むとAR(拡張機能)により「S六S(シックス)」という立体的なブランドアバターのが現れるなど、Webサイトや動画コンテンツと行き来できるようになっている。
雑誌に載せきれなかったコンテンツはWebサイトに全文公開され、アーカイブ(過去の記事の保存)機能としてもSNSやWeb、動画などを活用している。
■ビル壁面がARギャラリー
東京・六本木では、ビルの壁面に描かれているQRコードをスマートフォンで読んで、画像やアニメなどのデジタルアート作品をARで体験する「MoAR – Museum of AR(MoAR)」が9月17日から始まった。
ビルの壁面をキャンバスに見立てた企画で、28作品が鑑賞できるが、今後はさまざまな公共空間・建築物をキャンバスとして活用した街全体をアート空間にしてゆく構想も持っているようだ。
日本の自動車産業から生まれたQRコードは、デジタルと現実の架け橋となるため、今後もいろいろなところで活用されそうだ。
======== DATA =========
●QRコード
https://www.denso-wave.com/ja/system/qr/fundamental/qrcode/qrc/index.html
●「ヴォーグジャパン(VOGUE JAPAN)」
https://www.vogue.co.jp/
●MoAR(Museum of AR)
https://whatever.co/moar/ja/