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第168回 AIエージェント

社長のメシの種 4.0

 2025年は「AIエージェントの年」と言われている。
 12月11日にGoogleが発表した次世代生成AIモデル「Gemini 2.0」でもAIエージェントの開発に注力し、「Project Astra」と呼ばれる実験的プロジェクトでは人間との自然な対話を実現しているという。


 GoogleのAI研究を行うDeepMindの創業者で、今年ノーベル化学賞を受賞したデミス・ハサビス氏は、「2025年はAIエージェントの年になる」との見解を示し、AIと人間の相互作用が新たな段階に入ることを予見している。


 AIエージェントとは顧客対応や情報収集、データ分析など、これまで人が担ってきた様々な業務を自動的かつ効率的にこなす「仮想のビジネスアシスタント」のことで、AIエージェントの活用により企業規模を問わず業務の効率化が図れる。
 具体的にはチャットボットや音声認識技術を組み合わせたAIエージェントによる24時間体制の顧客対応で問い合わせや予約対応を行ったり、顧客の嗜好や購入履歴を分析し、適切な商品・サービスを提案する「レコメンド機能」や、営業メールの自動作成や見込み客リストの精査など、面倒な事務作業を大幅に削減することが期待できる。


■スモールスタート


 しかし、中堅・中小企業がAIエージェントを導入する上での最大のポイントは「スモールスタート」で、大規模な投資を行う前にまずは一部の業務領域から試験的に導入し、効果を測定して自社にとって最適な形を見極めることが大切だ。
 AIの活用はどこもまだまだ手探りの段階のため、業界の進んでいる企業の導入事例を聞いたり、外部のコンサルタントの意見を参考にすることも必要だ。


■AIキラーアプリ


 ChatGPTが登場して一気に「AIブーム」が起こってから2年が経ち、その後も生成AIの進化は続いているが、最近ではAIチャットに続く「キラーアプリが見当たらない」という声を聞くようになった。


 AI開発やAIサーバーに莫大な投資をしている大手IT企業が、それに見合った収益を上げられていない点を指摘したものだが、これは30年前のインターネットが普及を始めた頃と似ている。
 当時も高価なサーバー、高額な回線費用を払ってインターネットのホームページを開設しても、それに見合った収益を生み出すのは難しく、ネット販売、広告収入、投げ銭(寄付)の3種類しか稼ぐ方法は思いつかなかった。


 2000年時点ではGoogleもAmazonもまだまだ赤字企業で、今のようなIT巨大企業となるとは想像できなかった。
 インターネット同様にAIは今後の世の中を大きく変える技術になると考えているが、その「キラーアプリ」は予想外のところから来るかも知れない。

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