ChatGPTの登場により一気に注目が集まった「生成AI(Generative AI)ブーム」は、来年2025年も続くと思われる。
2025年のIT分野全体の支出は、前年比8%増の3.6兆ドルに達すると予測されているが、これは特にデータセンターへの投資の増加によるものだ。
多くの企業は大規模言語モデル(LLM)を活用しようとしており、米企業の30%がAIに1,000万ドル以上の投資を計画、これは2024年から大幅に増加している。
AIデータセンターに欠かせないGPUを供給するエヌビディアの四半期売上高は、2年前の70億ドルから350億ドル(5兆3,800億円)に急増し、時価総額は3兆5,000億ドルを超えて世界1位となっている。
データセンターを構築している各社は、さらに大規模なデータセンターを構築しようとしており、イーロン・マスクのxAIは、エヌビディアのAI半導体「ホッパー」を10万個搭載したスーパーコンピューター「コロッサス」を数カ月でテネシー州メンフィスに構築、Facebookのメタも、「他社よりも大規模な」チップの集合体を使用して最先端のAIモデルをトレーニングしている。
マイクロソフト、アルファベット、アマゾン、メタ、アップルなどは、今後5年間でAIに1兆ドルを費やすという予測もあり、巨大IT企業によるAI投資は続くものと考えられる。
■AIバブル論争
しかし、現状ではAIのキラーコンテンツはまだ登場しておらず、長期的な変革力と収益性に期待を持っている巨大IT企業を別とすれば、巨額の資金調達にも関わらず、期待したほどの成果を上げられずにいるAIベンチャーには、大企業に買収されたり、事業縮小、撤退などする企業も増えており、これらを根拠に「AIバブル崩壊」も危惧されている。
また、LLM学習用のインターネットデータの枯渇問題、半導体不足、電力インフラの未整備と需要急増による電力不足の可能性なども指摘されている。
2025年も「AIバブル論争」は続くと思われるが、AI技術が真に変革をもたらすもので、企業がその価値を収益化できるようになれば、インターネットのようにAIは社会に大きな変化をもたらすが、AI技術の進化が期待外れに終わり、収益化が難航すれば、AIバブルは崩壊し、AIへの投資は縮小する。
インターネットが普及していく過程で登場したアマゾンは、創業から9年間も赤字が続いていたし、配車や宅配アプリのUberは、創業から15年後の今年になって初めて通期の黒字を計上するなど、新しい技術の収益化には時間がかかる。
GoogleのピチャイCEOは決算説明会で、「テクノロジー業界では、このような変革期での過少投資のリスクは、過剰投資のリスクよりもはるかに高い」と投資家に語っている。
「インターネット(IT)バブル」がインターネットの終わりを告げるものではなかったように、現在が「AIバブル」状態だとしても、それがAIの終わりを告げるものではない。