5月20、21日に開催されたGoogleの年次開発者向け会議「Google I/O 2025」は、「AIの現場投入」を前面に打ち出した内容で、ほぼすべてがAIを活用したものだった。
研究室で磨かれてきた技術がいよいよ製品・業務プロセスに深く溶け込み始めることが示され、ピチャイCEOは「多くの利用者は自分がAIを使っていると気づいていない、あるいは気にしていない可能性がある」と話したように、AI技術は「当たり前」に使われる時代となりそうだ。
新モデルの「Gemini 2.5 Pro/Flash」は数学やコードを段階的に解く「Deep Think」モードと、感情ニュアンスまで調整できる音声出力を備えており、高度知を扱うR&D部門、コールセンターの高度化、CFO直轄のリスク分析など「説明責任」が重い領域で即戦力となるとしているが、AIが文脈を深く理解し、自律的に推論・計画・行動する「思考するパートナー」へと進化していることがうかがえる。
ブラウザ上の操作が可能なAIエージェント「Project Mariner」は、当初はイベントチケットの購入、レストラン予約、地元店舗予約などだが、家具を作るための担当者を雇う、不足している食材を注文するといった指示を実行することが可能だという。
GoogleのAIアプリ「Gemini」は4億件以上ダウンロードされて使われているが、今回発表された最新バージョンは月額250ドル(3万6,000円)の「グーグルAIウルトラ(Google AI Ultra)」という新たな課金モデルでは全て利用可能になるという。
■Google検索
日本では「ググる」ということばが一般的に使われるほど、インターネット検索で使われているGoogle検索だが、全世界での検索シェアがこのことろ90%を下回り、5月7日には反トラスト法(独占禁止法)訴訟でアップルが「ここ2ヶ月アップル製品からのGoogle検索が減少している」という証言により、株価が7%も暴落するなど、検索が減少している。
これは何かを調べる際にGoogleで検索(ググる)からAIで調べることへの移行が進んでいることを示しているが、Googleの2025年1〜3月期検索広告売上は507億ドル(7.3兆円)と、依然として売上の中核となっており、Googleも対応策を模索していた。
今回の「Google I/O」では、利用者に合わせた検索を実現するため、Gメールやグーグル・ドキュメントから個人情報を取り込むことができる「AIモード(AI Mode)」や、検索を数百の個別検索に分解し、結果を要約できる「ディープサーチ(Deep Search)」、カメラをかざしてAIに「今見えているものは何か」と尋ねられる「サーチ・ライブ(Search Live)」などが発表されている。
Google検索をした際に検索結果の最上部に表示されるAIによる回答「AIオーバービュー」の利用者数は既に15億人以上になっており、検索広告にはマイナスではあるものの、新たなGoogleによるAI検索を発展させて、ChatGPTなど他のAI検索に利用者を奪われない対策が進んでいるようだ。
企業は従来のGoogle検索経由での来訪者が減ってくると考えられ、対策を考えておく必要がある。
======== DATA =========
●Google I/O
https://blog.google/intl/ja-jp/google-io-2025/
●Project Mariner
https://labs.google.com/mariner/landing