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税務・会計

第15回 社員が意見を出し合い納得した採算表をつくる

新・会計経営と実学

半年前から部門別採算表をつくっている会社があります。
今月になって、やっと経営会議が出来る状態にこぎつけました。

しかし、この会社の社長には、新たな悩みが出てきました。

「……当社では、社内取引価格や経費の配賦方法、採算表での利益の概念について、
 社員が不満をもっています。しかし、それを表に出さずにブツブツ言っているので、
 会議がもうひとつ盛り上がりません。どうすればいいのでしょうか……」

経営会議を始めると、必ず不満を持つ社員が出てきます。
実は、ブツブツ言っている社員ほど、会社にとっては大切な存在で、それだけ、
自分の部門の採算表をしっかり見ている証拠です。
何も言わずに静観している社員は、採算表を他人事のように見ているのです。


ブツブツ言っている社員が、堂々と意見を言ってくれれば、経営会議はもっと盛り上がるはずです。
その社員の意見を反映することにより、魂が入った採算表ができ上がるのです。


例えば、
「電気代の部門配賦を経理は人数割で行っているが、俺の所はこんなに使っていない。
 ぜひ、実額で配賦してくれ」
とか、
「広告宣伝費のチラシ代も人数割になっているが、チラシの紙面の面積で配賦してくれ」
という意見が出てきます。

tam15-1.jpg


サービス業を営む会社では、
「時間当り利益(差引利益÷時間)で経営会議をしているが、経費の中には、人件費が入っていない。
 わが社では、人件費が経費の中でもっとも大きなウエイトを占めているんだから、
 差引利益から人件費を引いた、本当の利益で会議をすべきではないか」
という意見もありました。

そこで、採算表のフォームを変えて、本当の利益をしっかり見ていくことにしました。

tam15-2.jpg

これらの意見を取り入れることによって、自分たちの意思でつくった採算表ができ上がります。
その採算表で会議をすると、活発な意見が出てきて、全社員が何としても目標数字を達成しようとする
ようになるのです。

いま一度、採算表を本物にするための流れをまとめてみましょう。
  (1) まず、採算表のルールを丁寧に説明して、全社員に理解してもらう。
  (2) そこから、疑問点を出してもらう。
  (3) その疑問点を潰して、ルールの改善点を出してもらう。
  (4) さらに多くの意見が出てくる。
  (5) その意見を集約して、みんなが納得したルールができ上がる。
  (6) でき上がったルールに基づいて、会議をする。

みなさんの会社でも、社員が納得したルールに基づく採算表、つまり社員の魂が入った採算表で、
ぜひ、会議をしてみて下さい。
目標数字達成に向って、社員から素晴らしい意見が出るようになり、会議の回を重ねるごとに、
会社の採算が良くなっていくことでしょう。


 

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