金融市場には、株式や債券、外国為替取引など多様な分野があり、どれも刻々と変化するのがこの市場の本質ですが、世界中が身構えるような混乱も時々起こります。勿論、リーマンショックのように世界恐慌を連想する超弩級の大波乱は百年に一度でしょうが、かなり大規模な混乱も数年毎に起き、近年その間隔が縮まり変動率も拡大しています。
資産運用と経済環境・金融市場の変化は表裏一体の関係にあるので、時々起きる金融市場の混乱とその対処法を知ることは重要です。大事なことは、現在の混乱は『通常の景気循環の中の出来事か?』それとも『世界経済の構造変化に伴う現象なのか?』という見極めです。
『通常の景気循環ならば余り心配しないこと』
昨今の出来事が冷静に見て、通常の景気循環(好況⇒景気後退⇒不況⇒景気回復⇒好況)の中の現象と考えられるなら、資産運用はポートフォリオ(株式や債券などの資産配分)を見直すことで、大抵の変動に対処できるものです。
『世界経済の構造変化ならば変化の方向性を見極めること』
一連の出来事が、どうやら世界経済の大きな構造変化に基づくと見なされるなら、その変化の行き先を見極めた後に、資産運用方針を変えねばなりません。
最近の金融市場の混乱は、景気循環に伴うものではなく、世界の構造変化を反映したものとの見方が有力です。世界の政治経済を米国と自由主義経済の先進国が牽引するG7・G8時代から、新興国の台頭によるG20時代に移行する過程でリーダー不在のGゼロ時代になりました。世界中の投資家が将来の方向性を見極めようとしますが、欧米も日本も先送りしてきた財政問題を抱え、新興国もインフレや景気減速懸念が重圧となって出口が見えません。
世界経済の方向性が明確になってコンセンサスを得るまで、もうしばらく時間が掛かるようです。こんな時の資産運用では、例えば以下のポイントが大切です。
① 休むも相場、次の投資を急がずに現預金などのキャッシュポジションを高める
② 保有資産の売買をあせらず、変化の方向性と将来性を見極めてから判断する
③ 売却する場合も一時に全部処分せず、一部売却により売却時期を分散する
④ 購入する場合も二番底、三番底もあり得るので、時間分散を心掛ける