menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

税務・会計

第14回 営業の厳しさが製造現場まで伝わる組織

新・会計経営と実学

ある食品メーカーの社長には、いつも頭を悩ませていることがあります。

……私の会社は、営業が値引き攻勢を受けて苦しんでいるのに、
製造は厳しさを感じてくれない。
むしろ、"値引きを食い止めるのが営業の仕事でしょ"と思っている。
どうすれば、製造に厳しさを分かってもらえるだろうか……

こうした悩みを持っている社長はたくさんおられるのではないでしょうか。


通常のメーカーの場合、営業が売上目標を持ち、目標達成に向けて奔走しています。
一方製造は、コストをしっかり見て、それを削減するように指示されています。

①の図をご覧ください。現在100の売上で経費が50、利益を50上げている会社があるとします。
ここで、売上が90に下がった場合、経費を下げなければ利益は40になってしまいます。

tam1202-1.jpg

直接お客様と接している営業は、市場の厳しさに直面します。
しかし、製造部門には、売上というものがないので、市場の痛みを直接感じることはありません。
そのため、営業は値下げ要求が厳しいので、製造に「何とかしろ」と要求しますが、
製造は「そんなこと言われても売上がないので、厳しさがわかりません」と他人事になってしまうのです。

このような、ちぐはぐな事態になってしまうのも無理はありません。


ところが、②の図では、
製造がお客様に対する売値で売上を上げて、
その10%の口銭(コミッション)を営業へ支払うしくみをとっています。

tam1202-2.jpg

営業は、その口銭を自部門の売上とします。
そうすることによって、製造にも営業にも売上が計上されるのです。

値下げによって、売上が90になりますと、製造の売上が90に下がり、
同時に営業の売上も10から9(90×10%)に下がります。

このようなしくみにすると両部門が同時に市場の厳しさを感じることができるのです。
そして、自部門の利益を出すために、製造も営業も経費削減へと動いていくことになります。


②の図の場合でも、製造が9、営業が1だけ経費を減らせば、売上が90に減っても、利益が下がらず、
現状のままに保つことができます。まさしくこれが実学なのです。

全社員が同じベクトルを持たなければ、厳しい局面を乗り切ることはできません。
売上という共通の目標があれば、全社員が「売上最大、経費最小」を目指すようになるのです。

上から「売上が下がったので、営業も製造も、経費を下げろ!」と言わなくても、
両部門が市場の動向に敏感になり、
製造も今後の売上につながる受注の情報を積極的に聞き出すようになるのです。

さらに、製造は自部門の売上を上げるために、営業に同行して、直接お客様にアプローチすることもあります。

このように、各部門のメンバーが、自部門の利益を上げるため、走り出していくようになるのです。


①と②の図表を比べてもらい「実学というのは本当に面白いなあ!」と感じていただければ、
すぐに、経営システムを見直していただきたいと思います。

第13回 大きくなれば会社と風船は壊れてしまう前のページ

第15回 社員が意見を出し合い納得した採算表をつくる次のページ

JMCAおすすめ商品・サービスopen_in_new

関連記事

  1. 第2回 どうすれば強い会社になれるのか

  2. 第23回 自分の喰いぶちは自分で稼ぐ経営会議

  3. 第6回 経営者感覚がわからない社員には、夜泣きうどんの屋台を引かせてみる

最新の経営コラム

  1. 第152回 インセンティブ報酬の設計

  2. 第180回 フランス・リヨン・パリ視察ツアーレポート

  3. 国のかたち、組織のかたち(52) 永世中立の努力(オーストリア 下)

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. 健康

    第1号 「ココロとカラダの良い関係を築く3つの法則」
  2. マネジメント

    万物流転する世を生き抜く(8) スキピオ立ち上がる
  3. 社員教育・営業

    第23話 「ピンチはチャンス!有難う!」の精神やで
  4. 社長業

    Vol.113 自社商品の根本価値をお客様目線で考える
  5. 戦略・戦術

    第203話 「投資育成会社に株式を持たすのはやめなさい」
keyboard_arrow_up