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採用・法律

第86回 『来店客への景品,高価なものにして大丈夫?』

中小企業の新たな法律リスク

 スーパーマーケットを経営する伊藤社長は,最近開店した近隣ライバル店に対抗するため,自社のお店へ来てくれた客へ期間限定で来店プレゼントを提供することとし,早速,部下に来店プレゼントを選定するよう命じました。そして,後日,賛多弁護士へ別の経営課題を相談した際,世間話のつもりで来店プレゼントの話をしたところ,世間話では終わりませんでした。

* * *

伊藤社長:先生,今日もありがとうございました。A社から事業を譲り受けるときの注意点がとてもよくわかりました!もう少し具体的に案件が進んだら,また相談させてください。

賛多弁護士:はい,いつでもお待ちしています。
ところで,最近,御社の店舗の近くに新しいスーパーマーケットができましたね。この間,前を通りかかったら,開店セールなのか,ずいぶん沢山の客が入っていましたよ。

伊藤社長:そうなんですよ。あそこの社長がなかなかのやり手で,お客様を取られちゃっているのです。当社のスーパーマーケットからお客様が離れてしまわないように,まずは来店してくれた方へ何かプレゼントを配る施策を打とうと思っています。

賛多弁護士:来店プレゼントですか。御社にとって初めての試みではありませんか。

伊藤社長:そうですね,苦肉の策ですよ。でも,やるからには,ケチなことはしたくないので,費用のことは気にせず,来店したくなるような魅力的なプレゼントを考えるよう部下へ命じているところです!

賛多弁護士:そのお気持ちは素晴らしいですね。ただ,社長,来店する客へもれなくプレゼントつまり景品を提供する場合,その景品の額は原則として各200円までに抑えなければいけないという法規制があるのです。

伊藤社長:えー?そうなんですか。200円ですか。
でも,この前ネットを見ていたら,どこかの会社が,抽選で海外旅行プレゼントっていう広告を出していましたよ。

賛多弁護士:社長がご覧になったのは,いわゆるオープン懸賞というもので,事業者が企画を広く告知して,商品・サービスの購入や来店を条件とせずに応募できる形態のものなのでしょう。そういう企画には,景品に関する法規制がかからないのです。

伊藤社長:知りませんでした。当社のプレゼント提供の企画は,商品を買っていただくことを条件にはしていませんが,来店した方に限定するものだから,その法規制がかかってしまうのですね。
いや~,ちょっと雑談のつもりでお話してみて良かったです。


* * *

1.景品に関する法規制
 景品表示法は,景品類の最高額や総額等を規制することにより,一般消費者の利益を保護し,過大景品による不健全な競争を防止しています。ここで景品類とは,①顧客を誘引するための手段として,②事業者が自己の供給する商品・サービスの取引に附随して提供する,③物品,金銭その他の経済上の利益,を言います。①②③を充たして景品類に該当する場合は,景品表示法に基づく景品規制を受けることになります。

景品規制には,(1)一般懸賞に関するもの,(2)共同懸賞に関するもの,(3)総付景品に関するものがあり,それぞれについて,提供できる景品類の限度額等が定められています。

2.景品規制の概要
(1)一般懸賞
   商品・サービスの利用者に対し,くじ等の偶然性等によって景品類を提供することを「懸賞」と言い,共同懸賞以外のものは,「一般懸賞」と呼ばれています。一般懸賞での景品類の限度額は下表のとおりです。

懸賞による取引価額

景品類限度額
最高額 総額
5,000円未満 取引価額の20倍 懸賞に係る売上予定総額の2%
5,000円以上 10万円

引用:消費者庁HP「景品規制の概要」

(2)共同懸賞
 複数の事業者が参加して行う懸賞は,「共同懸賞」として実施することができます。例えば,商店街が実施する歳末セールでの福引がこれに当たります。下表のとおり,景品類の限度額は,一般懸賞よりも高く設定されています。

景品類限度額
最高額 総額
取引価額にかかわらず30万円 懸賞に係る売上予定総額の3%

引用:消費者庁HP「景品規制の概要」

(3)総付景品
   「懸賞」によることなく,一般消費者に対して提供される景品類は「総付景品」等と呼ばれています。商品・サービスの利用者や来店者へもれなく提供する金品等がこれに当たり,伊藤社長が考えた施策も総付景品ということになります。総付景品の限度額は下表のとおりです。

取引価額 景品類の最高額
1,000円未満 200円
1,000円以上 取引価額の10分の2

引用:消費者庁HP「景品規制の概要」

(4)オープン懸賞
 商品・サービスの利用者や,来店者に対して金品等を提供する場合は,景品表示法上の景品規制の適用対象となります。しかし,新聞,テレビ,雑誌,ウェブサイト等で企画内容を広く告知し,商品・サービスの購入や来店を条件にせず,郵便はがきや電子メール等で申し込むことができ,抽選で金品等が提供される企画は,「オープン懸賞」と呼ばれ,景品規制の適用対象外です。

【参考】
消費者庁HP「景品規制の概要」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/premium_regulation/¥

執筆:鳥飼総合法律事務所 弁護士 加藤 佑子

第85回 契約社員を雇止めするときの留意点前のページ

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