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採用・法律

第85回 契約社員を雇止めするときの留意点

中小企業の新たな法律リスク

 寺門社長は、山梨県で観光バス会社を経営していますが、長引く新型コロナウイルス感染の影響で業績が悪化し、人件費を削減するため、やむを得ず契約社員(有期労働契約者)の雇止めを行うことを検討しています。そこで、寺門社長は、雇止めを行う場合の留意点などについて、賛多弁護士に相談に来ました。


* * *

寺門社長:新型コロナウイルス感染拡大が収まりませんね。私にとっても苦渋の決断ですが、我社でも、契約社員の何名かを雇止めにすることにしました。

賛多弁護士:苦しいご決断と拝察いたします。そもそも、「雇止め」とは、期間の定めのある労働契約(有期労働契約)の期間が満了になったことで、会社側が従業員の雇用期間を更新せずに労働契約を終了させることであり、原則として、会社の判断により行うことができるものです。

寺門社長:そうですか。それでは、我社でも私の判断で雇止めを行っても問題ないでね。

賛多弁護士:いいえ、雇止めについては、雇止めを無効と判断した過去の裁判例があり、それらを踏まえて労働契約法でも一定の場合に、有期労働契約の雇止めを制限しています。具体的には、①契約の反復更新により雇止めが無期労働契約者(正社員)の解雇と同視できる場合(実質無期契約型)と②満了時に労働者が契約期間の更新を期待することに合理的理由が認められる場合(期待保護型)です。
なお、厚生労働省が定めた『有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準』では、「使用者は、契約を1回以上更新し、かつ、1年を超えて継続して雇用している有期契約労働者との契約を更新しようとする場合は、契約の実態及びその労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り長くするよう努めなければなりません。」と定められていることにも留意してください。

寺門社長:なかなか難しいですね。仮に我社で雇止めが認められるとして、その他に気をつけておかなければならないことはありますか。

賛多弁護士:先ほどの厚生労働省の基準に定められているのですが、やむを得ず雇止めをする場合には、契約が3回以上更新されているなどの一定の有期労働契約を更新しない場合には、少なくとも契約の期間が満了する日の30日前までに、その予告をしなければなりません。また、労働者が雇止めの理由について証明書を請求した場合は、会社は、遅滞なくこれを交付しなければなりません。

寺門社長:どうもありがとうございました。実際に、雇止めを行う際には、また、賛多弁護士に相談したいと思います。


* * *

 雇止めが制限される①実質無期契約型、②期待保護型に該当するかどうかについては、過去の裁判例では、業務の客観的内容、契約上の地位の性格、当事者の主観的態様、更新の手続・実態、他の労働者の更新状況などを判断要素としてその可否を判断しています。また、厚生労働省の『基準』では、有期労働契約の締結時に、労働者に明示すべき事項として、①更新の有無、②更新の判断の基準が挙げられています。将来雇止めを行うかどうかはともかく、契約社員(有期契約労働者)を雇用する場合には、契約更新に関する方針を検討しておき、雇用契約書、労働条件通知書等にそれに関する必要な記載をしておくことが重要です。

『有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準について』
https://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/12/dl/h1209-1f.pdf

執筆:鳥飼総合法律事務所 弁護士 橋本浩史

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