民事執行の手続きもデジタル化!
田中社長:なるほど。ところで、先ほど、(民事)執行の話が出ていましたが、民事執行の手続きも改正されたのでしょうか。
賛多弁護士:はい。今後、民事執行についても、インターネットを利用した申立てができることになりますし、裁判所からの送達をオンラインで行うことが可能となります。事件記録が電子化され、当事者はインターネットのサーバーにアクセスする方法での閲覧が可能となります。
また、ウェブ会議等を利用した期日への参加の拡充等がなされます。例えば、民事執行手続きの財産開示手続き(権利実現の実効性を確保する見地から,債権者が債務者の財産に関する情報を取得するための手続き)については、債務者の陳述についてはウェブ会議で、申立人の陳述はウェブ会議又は電話会議で行うことができるようになります。
田中社長: 便利になるのですね。
賛多弁護士:細かなことになりますが、強制執行の申し立ての際、判決書等の正本等の提出が必要ですが、今後、裁判所が電子データで作成した電子判決書等については、事件を特定する情報を提供することで同正本等の提出を省略できることになります。
田中社長:そうなのですね。
賛多弁護士:また、民事執行のほか、倒産手続きや、家事事件手続き等についても、デジタル化の改正が行われています。
田中社長:裁判所の手続きについてはよく知らず、これまでの手続きに不便な面があったことは驚きでしたが、利用しやすくなるというのはよいことですね。地方の取引先とのトラブルについても、先生にお願いしやすくなります。ただ、トラブルはできるだけ避けたいと思いますが。
賛多弁護士:それは全くそのとおりです。
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迅速化効率化を図り、民事訴訟等の手続きを国民がより利用しやすくするという観点から、民事訴訟等の手続きのデジタル化を図るため、2022年、2023年に、民事訴訟法等の改正が行われました。そこでは、民事訴訟、民事執行手続き、倒産手続き、家事事件手続き等の民事関係手続きにつき、インターネットを利用した訴状等の提出等、期日におけるウェブ会議等の活用、事件記録の電子化等の改正がなされました。
民事訴訟等の手続きに関する改正は直接関りはないと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、手続きの迅速化や利用しやすいという本改正のメリットは、最終的には、民事訴訟等の手続きを利用する当事者が享受するものとなるものと考え、本稿で、本改正を取り上げることにしました。
執筆:鳥飼総合法律事務所 弁護士 堀 招子
参考資料(法務省HPより)
・民事訴訟法等の一部を改正する法律について
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00316.html
・民事関係手続等における情報通信技術の活用等の推進を図るための関係法律の整備に関する法律について
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00336.html
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