まず、こちらのフランスワインのラベルを見てください。
これは、一番上にGRAND VIN DE BORDEAUX(グラン・ヴァン・ド・ボルドー)と書いてあるので、すぐにボルドーが生産地だとわかります。GRAND VIN(直訳すると素晴らしいワイン)にはそれほど意味はありません。蔵元が自信を持って造ったワイン、という程度です。
DE は英語のOFにあたる前置詞。VINはワインです。
その下にあるCHATEAU JEAN FAUREは生産者の名前。ボルドーでは生産者がCHATEAU(シャトー)を名乗ることが多いのです。シャトーといっても「お城」という意味ではありません。
2010は生産年。
SAINT-EMILION GRAND CRUSの表記は、ボルドー右岸のサン=テミリオン地区グラン・クリュというAOP(原産地呼称Appellation d’Origine Protégée)を持ったワインである証です。
AOPとは、EUが制定するところの原産地呼称の最上位で、その土地のワインがどのようなものであるべきかを詳しく定めた法律に従って造られたことを保証するものです。つまり、これがついていれば、一定のクオリティを保証されているということになります。フランスではAOP(AOCともいう)ですが、イタリアではDOPと呼ばれるなど、国によって呼び方が異なります。
このラベルに関しては、どこにもAOPなんて書いてないのに・・・と思われるかもしれませんが、これは学習の上、覚えていくしかありません。
また、サン=テミリオン地区のワインはブドウ品種がメルローとカベルネ・フラン主体のものが多いので、慣れてくるとこのラベルだけでなんとなく味の予想ができるようになります。
さて、さきほどお話したAOP(AOC)ですが、こちらのラベルにはきっちりと表記があります。
大きな文字と文字の間に、小さな文字でAppellation d’Origine Contrôléeと書かれています。AOCを持っているのはわかったけど、一体どこのワインなの?となりますが、これはCHASSAGNE-MONTRACHET(シャサーニュ・モンラッシェ)というAOCだけが書かれている例で、これはブルゴーニュのコート・ドール地区にあります。どこにもブルゴーニュとは書かれていないのです。
その下にある1er CRU-MORGEOTは畑の名前。1er CRUとは第一級畑を指します。
その下のDOMAINE FONTAINE-GAGNARDは生産者の名前。DOMAINE(ドメーヌ)はボルドーでいうところのCHATEAU(シャトー)にあたり、生産者の名の頭につけるものです。
AOPの表記にはこんなのもあります。
これは、ボルドー左岸のPESSAC-LEOGNAN(ペサック・レオニャン)という地区で造られたワインですが、APPELLATION PESSAC-LEOGNAN CONTROLEEとあります。これは、Appellation d’Origine Contrôléeと同じ意味で、地区名を入れて表記している例です。
このラベルで、他の表記も見て行きましょう。
大変見えづらくて申し訳ないのですが、2011という年度の左下に、MIS EN BOUTEILLE AU CHATEAUという表記があります。これは、生産者元詰、つまり、自分たちで生産し、かつ瓶詰めをしているという表現です。
その下はアルコールの度数の表示(この場合は12%)、また750mL入りであること、その下のCONTAINS SULFITESは酸化防止剤の二酸化硫黄SO2が含まれることを示しています。
この他にも、まだまだラベルのバラエティはあるのですが、今回はとりあえずここまでにしましょう。
注)英字大文字のアクセント記号は省略させていただきました。