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- 第10回 ロゼワインを飲みませんか?
ボルドー地方 ムートン・カデのロゼ
品種はメルロ、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨン
南仏プロヴァンス地方コトー・ドゥ・ヴェルドンのロゼ
品種はグルナッシュ、カベルネ・ソーヴィニヨン、ユニ・ブラン
ブルゴーニュ地方イランシーのロゼ
品種はピノ・ノワール
シャンパーニュ地方のレストランにて、自分で造ったロゼ・シャンパーニュを飲む、
パスカル・エナン社のロマン・エナン氏
各地で、桜の花がほころび始めました。お花見の予定が有る方も多いのではないでしょうか?ご家族で、会社で、友だち同士でと、桜を愛でながらのお酒は、いつもよりも何倍も味わい深く感じられるように思います。お花見の折、ぜひ飲みたいのが、桜にも似た色を持つロゼワインです。
白と赤は飲むけど、ロゼはあまり飲まないという方も多いようです。女性らしい色のイメージから敬遠される男性がいたり、甘いのではと懸念される方がいたりといったことが原因の様子。今回は、ロゼワインについて、お話したいと思います。
(1)ロゼは女性のもの?
たしかに、ピンクの可愛らしい色合いから、ロゼを好む女性は多いでしょう。女性を美しく見せてくれるワインだと言っても過言ではありません。しかし、そのイメージを以って、男性がロゼワインを飲まないのは、とても残念なことです。フランスでは、ロゼは夏のバカンスを象徴する飲み物。海辺のカフェやレストラン、またバーベキューやガーデンパーティなどで、老若男女問わずロゼを酌み交わすのは、よく見られる風景です。
(2)ロゼは甘いもの?
ロゼは甘いので飲まない、という方もいらっしゃいますが、それは大きな誤解です。たしかに、以前は甘口のロゼが多く売られていたようですが、現在は辛口のものも多数輸入されています。甘さ、辛さの度合いは、醸造段階での残糖の量によります。ロゼだからといって、すべてが甘く造られているわけではないので、ご安心ください。ただし、購入の際に、甘さの度合いを確認することをお忘れなく。
(3)ロゼは赤と白のワインを混ぜたもの?
ロゼワインは赤と白のワインを混ぜて造られると思われていることがあるようですが、EUのワイン法では、赤と白のワインを混ぜてロゼを造る方法(アッサンブラージュ)はごく一部を除いて禁止されています(フランスでは、シャンパーニュだけこの方法を認められています)。ですので、皆さんが飲まれるロゼの多くは、
A:ダイレクトプレス法
B:セニエ法
のどちらかの技術が採用されています。
Aのダイレクトプレス法は、白ワインを造るときのように、収穫した黒ブドウをそのまま圧搾(プレス)し、果皮から色素を引き出す方法。
Bのセニエ法は、赤ワインを造るときのように、圧搾したあとしばらく果皮と果汁をマセラシオン(醸し)し、造り手が望む醸し具合になったタイミングで果汁のみを容器から取り出す方法です。色だけでなく、果皮から味わいも引き出せることが特徴です。
AとBを比べると、Aのほうが軽やかでより白ワインに近く、Bのほうが重さと果実味がしっかり感じられるものが多いようです。
(4)飲むときの温度は?
一般的に、ロゼワインはしっかりキリッと冷やして飲まれることが多いようです。先に書いたように、バカンスでのワインという認識があるのも要因かもしれません。ただし、最近では有名な造り手が、非常に良いブドウでシリアスに造った、比較的高額なロゼワインも存在します。その場合は、香りや味わいを楽しむため、冷やし過ぎない方が良いでしょう。
(5)食べ物には合うの?
ロゼワインほど、汎用性の高いワインはないのでは、と個人的には考えています。食前酒のイメージもありますが、特に果実味があり、ふくよかさを感じるタイプのロゼは、和食の少し甘いしょうゆ風味とよく合います。例えば、タレのたっぷり付いた焼き鳥などは大得意。から揚げなど揚げ物にもよく合います。タイ料理や中華料理などにも、オススメです。
ロゼワインは、多くの国、産地で造られています。フランスではプロヴァンスが有名ですが、ボルドー、ブルゴーニュ、ロワールなど、産地はさまざま。国で見ても、イタリア、ポルトガル、アメリカ合衆国など、造られていない国を探すほうが難しいほどです。ぜひ、お気に入りのロゼを探してください。