ここ数年、売上が低迷し赤字に苦しんでいる会社の社長が、相談に来られました。
その社長いわく
「私の妻は、給料が下がって家計が苦しいのに、うまくやり繰りしてくれています。
いわば家計の経営者という存在です。それを見ていて、このやり方を経営に活かすことができれば、
会社を立て直すことができるのではないかと思うのです。」
まさしくその通りで、この社長はとてもいいところに気付かれたのです。
通常の場合、どの奥さんも家計の立派な経営者です。星野家の家計簿を見て下さい。
6万円程の赤字が出ています。奥さんは、夫と長男に
「あなたたちの交際費が高すぎるのよ。70%カットしてちょうだい!」
と叫んでいます。
しかし、2人は、
「赤字の原因はお母さんの洋服代じゃないの?僕らは関係ないよ」
と一向に耳を傾けようとはしません。
そこで、奥さん一人一人の家計簿を作って、夫と長男イに見てもらうことにしました。
奥さん自身も、自分の家計簿を見てびっくり!3万円も赤字になっています。
なんとかしなくちゃと、自分の家計簿の中で大きな支出となっている、夫と長男のお小遣いを減らすことにし、
2人に通告しました。
長男は、
「今でも赤字なのに、お小遣いを2万円も減すなんて、ひどいおかんやなあ」
と不平タラタラです。
夫も「うちの奥さんは困ったものだ」と頭をかかえています。
この様子を見て、奥さんは
「このままでは、文句や不平だけで終わりそうだわ。家族別家計簿を作っただけではだめなのね。
じゃ、来月に向けての改善プランを作ってもらいましょう」
と、2人に提案しました。
奥さんは家計簿改善プランで、前月の結果を反省して、今月どうしてやり繰りしていくのかを
考えてもらうようにしたのです。
2人はしぶしぶ改善プランを作りました。
しかし、そのプランはギリギリ赤字にならないように作られてはいるものの、本当に実現できるのか、
奥さんは確信を持てませんでした。
考えあぐねた結果、その改善プランを家族みんなの前で発表してもらうことにしました。
当初2人は、面倒だと躊躇していましたが、
「この改善プランはあなたたちの意思なんだから、何としても実行して!」
という奥さんの強い言葉に、ただならぬものを感じ、真剣に考え出しました。
回を重ねるごとに、家計簿改善プランは、現実味を帯びた、しっかりとしたものとなり、
2人はその実現に向って努力するようになってきたのです。
皆様の会社でも、社員の方々はすべて自分の家計簿を持っています。星野家の家計簿のように、
部門ごとに分けて採算を出し、自分の家計簿だと思って、明日の改善プランを考えてもらってはいかがでしょうか?
そして、経営会議の場で壇上に立ち、そのプランを発表してもらうのです。
そうすれば、必ず個々の家計簿が黒字に向い、会社全体の数字もよくなっていくのではないでしょうか。