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人間学・古典

第三十六話「一以てこれを貫く」

中国哲学に学ぶ 不況は会社守成の好機

※本コラムは2000年代に井原隆一氏が書き下ろした「不況は会社守成の好機」コラムを再連載するものです。


この言葉は孔子の弟子の子貢が、孔子のことを多く学んだ博識であるとしたのに対し、その本になっているのは“仁”の一字である、とのべたものである。“仁”とは誠実と思いやりを意味しているもので、この“仁”の一字からあれだけの教えを示しているわけである。とすれば経営、処世などあらゆる面で必要、不可欠の一字ともいえよう。すべての面で上に立つ者がこの一字にしたがって、政治、経営などすべてに徹底すれば、すべてに満点になる道理といえよう。

これは比較にもならないことだが私は“敬”の一字を貫くことにしてきた。“己を慎み、人を敬う”の意味である。このため些かであっても人を見下げた文字、言葉も用いたことはない。

そのため現職当時、決済の任に当たったこと三十余年になるが一度の誤りもなく無事に任務を果たしてきたことは、すべて“仁”の一字による判断と考えているのである。また、“敬”の一字であるが私はどのような立場、どのような境遇の人であっても見下げた言動した記憶はないといえるだろう。

それに人を侮り見下げていることは己の人格を自ら引き下げていると考えているからである。商売がら“むしろ千金を失うともひとりの心を失うことはなかれ”これが人間としてのまた企業マンとしてのあり方であると考えているからである。

 ※栗山英樹氏から、本コラム井原隆一氏の「人の用い方」書籍と、井原隆一「人の用い方セミナー」収録講演CD版・デジタル版を推薦いただきました!

 監督の仕事は、選手の心を動かし、勝利の高みに導くことです。人をいかに用いて、信頼感を高めるか―――

その答えを求めて、私は井原さんの「人の用い方」のCDを5年間、毎日球場までの往復2時間、車の中で聴き、本をカバンに忍ばせていました。選手は勝利のために厳しい練習をしているわけですから、私は素振りの代わりが勉強だと思っています。

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