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第81回
“世界最短睡眠民族”ニッポン人を救え!
~りゅうじん流『睡眠質』を高める術~

次の売れ筋をつかむ術

 

 
睡眠が心身の健康にとって大事なことは誰しもが分かっている。
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しかし、経営者やエグゼクティブはもちろん、ビジネスパーソンの中には、不眠症や不規則睡眠の人も多い。
 
仕事や付き合いによる夜更かし、早朝からの仕事やゴルフ、海外出張などで、睡眠をつかさどる体内時計のリズムはボロボロになってしまう。
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その上、現代社会は公私にわたり、ストレスの種が尽きない。ベッドの中でも心配事が頭から離れない。
 
運動不足で体を動かさないからよけいに寝付けない。
 
統計的にも、日本人は“世界最短睡眠民族”だ。
 
だからこそ、よく眠る者こそがビジネスを制するのである。
 
睡眠時間が長く取れなければ、少しでも「睡眠質」を高める工夫が必要だ。
 
 
●“世界最短睡眠民族”ニッポン人
 
アメリカのリサーチ会社ACニールセンの調査によれば、日本人は世界一睡眠時間が短い国民である。
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OECD(経済協力開発機構)による睡眠時間の国際比較では、韓国が7時間49分、日本が7時間50分と僅差で眠らない国の2トップだった。
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日本、韓国など東アジアの儒教圏は、総じて早起きで短睡眠だ。その理由は文字通り寝食を忘れて働くからに違いない。
 
欧米人は朝まで飲んでいたのに、翌朝、バリッと会議に出て来てそのスタミナに驚かされたりするが、彼らには瞬発力はあっても長期にわたって短時間睡眠に耐えられるとは限らない。
 
事実、OECDによる調査でも、フランスは1時間も長い8時間50分、アメリカも、8時間39分としっかり睡眠を取っている。
 
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日本人の睡眠は、戦後少しずつ短くなってきたが、ますます減少傾向にある。
 
理由は夜勤やネットだけではないだろう。“世界最短睡眠国”ニッポンの大都市は不夜城である。
 
26時(午前2時)までキャバ(キャバクラ)嬢のお勤めがハネる(終わる)のを待ってアフター(後でバーなどに飲みに行くこと)に出掛ける命知らずの輩もいる。
 
慢性的な睡眠不足は集中力や気力の低下を招くだけでなく、うつ、高血圧、糖尿病、アルツハイマーなどの発症のリスクを高めることが指摘されている。
 
現在はまだ世界有数の長寿国だが、このまま睡眠時間を削り続ければ命を削ることになるのは火を見るよりも明らかだ。
 
 
●40歳を過ぎると急速に眠りが浅くなる
 
食事に気を使っている人はたくさんいるが、睡眠に気を使っている人は意外に多くない。
 
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睡眠は規則正しく一定時間取れればいいが、バリバリ仕事をしているビジネスパーソンには難しいだろう。
 
睡眠についてはまだわからないことが多いが、睡眠が脳と身体を休ませ回復させることは間違いない。
 
実際、ぐっすり眠れないと疲れが取れないし仕事の効率も下がる。
 
実は、加齢も不眠の原因の一つである。年を取るにつれて眠りが浅くなってしまうのだ。
 
個人差はあるが、疲れているはずなのに、若い頃と違って夜中に何度も目が覚めたり、早起きになったりする。
 
睡眠には、体は休んでいるが脳は活動している「レム睡眠」と、体も脳も休んでいる「ノンレム睡眠」がある。
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この2つがワンセットとなって、90分周期で繰り返す。
 
特に「ノンレム睡眠」の中で、大脳まで休息する深い睡眠のことを「徐波睡眠」という。
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この間に成長ホルモンが分泌され、細胞が修復される。
 
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ところが、加齢とともに眠りは浅くなり、40歳を過ぎると、この「徐波睡眠」が急速に失われてしまう。
 
そのために、年を取ると眠りが浅くなるのである。
 
 
●睡眠不足がメタボの元凶!
 
また、「メタボリック・シンドローム」(メタボ)が原因の「睡眠時無呼吸症候群」が不眠を引き起こすことは、近年、よく知られるようになった。
 
しかし、実は睡眠不足がそのメタボを引き起こす肥満の一因なのだ。
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アメリカのコロンビア大学の研究チームは、32歳から59歳の男女1万8千人を対象に睡眠時間と体重の関係を調べたところ、1日平均7~9時間睡眠の人に比べて、4時間以下の人は73%も肥満になりやすいという調査結果を発表した。
 
5時間睡眠の人は50%、6時間でも23%も肥満になりやすい傾向が見られたという。
 
また、スタンフォード大学チームの調査(対象30~60歳の約1千人)によれば、睡眠時間が5時間の人は8時間の人に比べて、食欲を促進する「グレリン」というホルモンが14・9%も多く、食欲を抑制する「レプチン」というホルモンが15・5%も少ないことが分かった。
 
さらに、シカゴ大学チームの調査では、2晩連続で4時間しか寝ないと、10時間寝た場合に比べて、「グレリン」が増加し「レプチン」が減少することが確認された。
 
睡眠不足が食欲を増進し、メタボになる。メタボになると睡眠時無呼吸症候群になり、さらに睡眠不足になる。
 
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そして、睡眠不足がより食欲を増進し、メタボが進む……という魔の悪循環に陥りかねないのだ。
 
 
●PC・スマホのブルーライトが安眠を妨げる
 
最近は「スマホでSNSとにらめっこしていたら朝になった」という人も少なくない。
 
ただでさえ忙しくて寝る暇もないのに、ネット社会とスマホが、日本人の寝不足をさらに助長している。
 
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スマホやパソコンなどに使われているLEDライトの光にはブルーライトが多く使われていて、このブルーライトは太陽光線の中にもある光線だが、当然、太陽は睡眠時に不要だ。
 
太陽光線と同じブルーライトを浴びると、体は昼間と勘違いしてしまい、夜になると分泌されるはずだったメラトニンの分泌が抑えられてしまい、いつでまでも眠気が来ないことになってしまう。
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ブルーライトは睡眠障害を引き起こすだけでなく、ドライアイ、網膜光障害、飛蚊症、白内障などの原因になるとも言われている。
 
眠気を催すメラトニンをたくさん分泌するには、昼間と夜の区別をしっかり体に感じさせる事が重要だ。
 
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昼間に太陽をしっかり浴びる事で昼間を感じさせ、夜は暗めの部屋でリラックスして過ごす事でメラトニンの分泌量も自然と増える。
 
 
●“寝てない自慢”は愚の骨頂
 
日本でも欧米でも、エグゼクティブの“寝てない自慢”がお互いの睡眠をさらに妨げている。
 
「26時(午前2時)にA社長にメールしたらすぐに返事が帰ってきたよ。それなのに彼は翌朝7時にはもうオフィスにきていた。ボクらの周りはみんなそんな感じだよ。やっぱりそれくらいでなきゃダメだね」などという話を、時折、耳にする。
 
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「睡眠は3時間で充分!」と豪語し、現代のナポレオンを気取っていたある社長は、結局、セントヘレナに幽閉ならぬ、セントルーク(聖路加病院)に入院してしまったが。
 
周囲の同情を誘ったり、パワフルさを印象付けたり、自分自身を元気づけるためのデモンストレーションなのだろう。
 
かくいう私も“寝てない自慢”を時折してしまっている。
 
「20代から“国際ドサ回り”生活です」とか「体内時計は世界時計です」などと苦笑しながら、超不規則な生活を送って来た。
 
学生時代に起業して以来、ベッドの上で寝られるのは1週間足して10時間程度という時もあった。
 
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要領の悪さから、もうすぐ還暦を迎える今でも、月に何日かは徹夜やそれに近い日も少なくないし、移動時間だけが睡眠タイムということも珍しくない。
 
そのため、時間が取れなければ、短くとも少しでも質の高い睡眠を取ろうと心がけ、自分なりに研究を続けてきた。
 
 
●睡眠質を高めるためにありとあらゆることをやってみた結果
 
20代から、睡眠の質を高めるために、ありとあらゆることをやってみた。
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ベッドやふとん、マクラにも凝ってみた。しかし、出張が多く、いつも自宅で寝られる訳ではない。
 
睡眠に関係するとされるホルモンのメラトニンや睡眠誘引剤も試してみたが、副作用や常習性があるのではないかと気になる。
 
就寝前に摂取すると、速やかに「徐波睡眠」に達し、睡眠の質が改善されるというアミノ酸のグリシンのサプリはたまに飲んでいる。
 
しかし、なかなか続けられないし、習慣化すれば良いのだろうが、ズボラな私には毎晩飲むこと自体がストレスになり兼ねない。
 
PCやスマホに、ブルーライトを軽減するフィルムを貼ってはみたが、買い替えのたびに貼るのは面倒だ。
 
また、ブルーライトをカットするメガネも試してみたが、締め切りに迫られて必死に仕事している時や、就寝前にスマホを見る際にはかけること自体が億劫になってしまう。
 
 
●《りゅうじん流「睡眠質」を高める5か条》
 
国内外の出張が相次いだり、睡眠が不規則だったり、睡眠時間自体を長く取れない人には、睡眠環境のみならず、いつでもどこでも可能な限り「睡眠質」を高める方法が欲しいものだ。
 
私自身、そのために様々な情報を集めて来たが、正直なところ、これはという決め手は、なかなか見付からない。
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結局、日常の中で、自分なりの「睡眠質」を高める術を編み出して行くしかない。
 
私の場合、以下の単純な《りゅうじん流「睡眠質」を高める5か条》を心掛けている。
 
1.朝は朝日を浴びる
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寝てようが寝てなかろうが、とにかく、朝は朝日を浴びることにしている。
 
当然、脳も体も覚醒するし、目覚めから14時間から16時間後に眠気を催すと言われる。
 
2.少しでも体を動かす
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ヒトも生き物だ。頭が疲れていても、体が疲れていないと寝付けない。
 
日々、運動を習慣化して、移動中も階段を使ったり、早歩きするなど、なるべく体を動かすようにしている。
 
連日、部屋に缶詰になって仕事をしなければならない時も、少しでも体を動かす。
 
3.寝られる時にいつでもどこでも寝る
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移動中であろうが、細切れの時間だろうが、寝られる時には、すぐに少しでも昼寝をする。
 
その際には、できれば、少しでも暗くして寝る。
 
しかし、起きてからボッーとしたり、寝坊したりしないよう、タイマーをかけて、何時間も寝ないようにする。
 
4.野菜と発酵食品中心の食事を3食摂る
 
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ガッツとは英語で腸のことだが、腸脳相関と言われるように腸は第2の脳である。
 
腸の調子が良くないとガッツも湧かないし、よく寝られない。
 
寝るのは脳であり、脳の安眠は腸にかかっている部分も大きい。
 
あらゆる種類の野菜と、納豆やヨーグルトなど発酵食品を、3食たくさん摂取する。
 
5.「ワハハ!」「ガハハ!」と笑って寝る
 
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笑う門には福来ると言う通り。
 
脳の状態が体に影響を与えるように、体の状態も脳に影響を与える。
 
イヤなことがあっても、無理やりでも楽しそうに笑って寝れば、脳も少しは楽しい気分になり、良く寝られる。
 
 
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ビジネスパーソンの夢が、新たな商品やサービスを生み出し、雇用を創り、社会を前進させるのだ。
 
果報は寝て待てという通り、夢を実現するためにも、「睡眠質」を高め、いい夢を見よう。
 
よく眠る、よく眠れる者こそが、人を制し、この世を制するのである。
 

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