「売る」から「選ばれる」へ発想を根本から変える
小さなお店はお客に覚えてもらい、お客に好きになってもらい、お客に選んでもらわなければならない。小さなお店だからこそできることがある。
どこの会社でも、どこの店でも、自分のところから商品を買って欲しい、サービスを使って欲しいと考えるのは当たり前です。毎日一生懸命つくっている商品、毎日一生懸命技術を磨いているサービス、足を棒にして作り上げた逸品ですから、買ってほしい、使って欲しい・・・。だから、売り込みます。
しかし売り込めば売り込むほど、お客さまは不愉快になります。
「いい商品ですよ
他ではちょっと手に入らないですよ
普通はこんな値段じゃ売っていないんだから
ねえ、買ってくださいよ!」
それでも、なかなかお客さまは振り向いてくれません。
なぜでしょうか?
「売る」から「選ばれる」へ発想を根本から変える
その点を理解するためには、考え方を「売る」から「選ばれる」に変える必要があります。
商売とは、お客さまに商品を売るのではなく、選んでいただくことだと私は思っています。
このことは、単に言い方の違いではなく、根本的なところに非常に大きな違いがあります。
「集客が思うほどうまくいなかい」とか、「業績がよくない」という経営者が少なからずいます。しかしあくまでもそれは私たちの都合です。
つまり、売り手側の発想から出る言葉なのです。
商品を買うかどうかの決定権は100%お客さまがもっています。私たちには1%の決定権もありません。もちろん競合店も同じです。
つまり「集客が思うほどうまくいかない」「業績が良くない」という言葉は、お客さんの視点から見た言葉に置き換えてみると「私たちはあなたの商品、またはあなたを選んでいませんよ」ということなのです。
「売れない」のではなく「選ばれていない」のです。
そう考えると、「売る」という発想から「選ばれる」という視点で商売を見直してみると、さまざまな見え方があります。
お客さまに商品を買ってもらおうと考えたときに、多くの経営者が第一に考えるのが
「商品の良さをもっと知ってもらおう」、あるいは「商品を改良してみよう」ということです。誰でも自分のところの商品には自信を持っているだろうし、また、商品を売っているわけですから、品質にこだわるのは当然です。
もちろん、商品の良い点をアピールすることは悪いことではありません。商品をより良いものに改良するのもとてもいいことです。大いに継続努力してください。
先日のことです。
地下鉄で、ある商品の広告を見ると、「○○セレクション受賞」と大きく書いてありました。路面店のあるケーキショップの店頭には、「○○監修の○○チョコパイ」と、popでデカデカと大きく貼り出されていました。
また、ある焼き肉店の看板には、「こだわりの餌で一貫飼育した○○の牛肉」と、立派な筆文字で書いてありました。
こうした宣伝は、商品(モノ)の価値や品質を全面に打ち出すことで購買の動機となり、販売のチャンスが増えると思われているのでしょう。
しかし、モノやサービスがあふれる今、良いモノを提供したからといって売れる時代ではなくなりました。
インターネット通販など、欲しいモノを探し、日本各地の名産品や他国の商品でも簡単に手に入る時代です。
また情報もあふれ、SNSなどのレビューを読めば、実際に購入した人たちによる質の高い情報が手に入り、どの程度のモノなのかもカンタンにわかるようになりました。
では、小さなお店や小さな会社は、どのようにしてあふれるモノや情報と差別化すればいいのでしょうか?
答えは「モノ」より「ヒト」を伝えるのです。
自分の考えや仕事に対する情熱、使命感などを誠実に伝えていくことで、お客さまから選ばれる時代になったのです。
これからの商売は、「モノ」を売るのではなく「ヒト」を売ることが大切なのです。
小さなお店や会社は、商品の品質や機能を売りにするよりも、店主や販売を担当する人の仕事に対する思いやモノづくりへの情熱を伝えることの方が、繁盛店にとって大切な時代になりました。
それは、あなたの考えや仕事に対する情熱、使命感などをお客さまに「ストーリーで伝え、共感してもらう」ことで、多数のお店や会社のなかから、あなたが一番に選んでもらうことが成功のカギとなります。