宅配ピザチェーンを展開する(株)ウイリーは、10円の一口饅頭「拾圓小饅寿(じゅうえんこまんじゅ)本舗」(12店)
とおむすび専門店「おむす人」(20店)の新業態を打ち出し積極的に事業展開している。
「拾圓小饅寿(じゅうえんこまんじゅ)本舗」は一年前、「おむす人」は二年前に始まったばかりの新しい業態である。
飽和状態の飲食業界の中で、この二つの業態は徐々に注目を集め始めている。
短期間に店舗展開も進み、地域に密着した商売として加盟希望者も増えている。
特に、中高年、主婦の独立開業の業態として関心が寄せられている。
「拾圓小饅寿(じゅうえんこまんじゅ)本舗」は1個10円の“10円饅頭”を売る業態である。
すべて店舗で蒸したてを提供するので、いつもあったかい饅頭が食べられる。
1個10円という価格設定も消費者に対してのアピール度が高い。
一口サイズで食べやすく、皮はしっとりしつつも、もっちり感があり、常に新鮮さが感じられる。
「おむす人」はおふくろさんの温もりと家庭の安らぎが感じられる業態である。
店舗スタッフはすべて女性、店長を“おふくろさん”、パートさんを“むすび手さん”と呼んでいる。
特徴のあるおむすびは、コンビニおにぎりの1・5倍の大きさ、コシヒカリを釜で丁寧に炊き、
熱々の状態でむすぶため、機械的なコンビニおにぎりと比べ、温かみのある商品である。
おむすびと10円饅頭がドッキングした複合業態にも注目されている。
小さな店舗で稼げる飲食店である。開業資金も比較的低く、技術的にも参入しやすい。
同社の橋口政治社長は「温かみを前面に打ち出した飲食業」と自信を持つ。
同社の社是は「夢と行動と感謝」。
橋口社長は現場でスタッフに「とにかく動け、頭で考えていても始まらない」と檄を飛ばす。
世の中、変化の激しい次代には、朝令暮改は当たり前、すぐに手を打つことが大事だ。
社長自ら動いている。
行動を起すことで、次の展開が見えてくるという。先が読めない時代だからこそ、行動しながら、考え、次の手を打つ。
この連続した仕事ぶりが繁盛への好循環に変わっていくのである。
実は、新業態が生まれた背景にも、「とにかく動け」の口ぐせがある。
パン、和菓子、豚鰻、弁当、ピザなどを手がけてきた橋口社長は次々の新業態のアイデアが、動いていると出てくるという。
おむすびや饅頭という、昔からある食べものでも、新鮮な切り口で取り組めば、新業態として十分成立することを証明している。
「稼げる飲食業」を商売人なら誰もが模索しているものだ。
販売の最前線の現場を歩き、消費者の本音を掴み、いい商品を開発して、消費者に提案する。
橋口社長は率先垂範の行動する人である。
上妻英夫