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健康

第37号 胃潰瘍と胃がん

おのころ心平の ──社長のための「か・ら・だマネジメント」

おのころ心平のデビュー作『「きれい」をつくるココロの処方箋』。この本の第6章にある「きれいをつくる7つの習慣」が、大好評を頂いております。この習慣は、きれいのためだけでなく、もちろんココロとカラダの健康づくりに大きな効果があります。

 健康習慣というと、運動や禁煙・禁酒など、なんだか「がんばらないといけない」ものばかりと想像しがちですが、この本では、日常のちいさな心がけでできることだけを取り上げています。

 日常の小さな心がけの積み重ねが、やがて健康の大きな差を生む。 何をやっても続かなかった人には、まさにうってつけの7つのエクササイズになっています。ぜひ、本を購入して、実践してみて下さいね。

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★『「きれい」をつくるココロの処方箋』

*****

 さて、本編です。前回から、「病気とは、才能である!」シリーズをお届けしています。

 私は、これまで16年間の健康カウンセリングを通じて、さまざまな症状や病気の方とおつきあいしてきました。

 その中で感じてきたことは「この方がカラダの内側で病気に使うエネルギーを、カラダの外側で使えたならどんなにすばらしい才能を発揮できるだろう」ということでした。

 病気になるのって、かなりのエネルギーが必要です。 皆さんも、発熱して寝込んだだけでもかなりの体力が消耗するというのは実感されているのではないでしょうか。

 急性の症状でもそうなのですから、慢性疾患や変成疾患、がんなどには、どれほど多くのエネルギーが必要なことか。

 逆に言うと、多くの人が病気になるのは、本来は、外に表現すべきエネルギーを内側に溜めてしまっているから、ということができると思うのです。

 さて、今回は、胃潰瘍と胃がんについて、考えてみようと思います。

 だいぶ昔のことですが、昭和30年代の和歌山地方で、林業にたずさわる方々に胃がんの発生率が高かったという話があります。

 林業と言っても当時は、のこぎりで朝から晩まで木を切るという作業でした。そうした仕事に従事するのに、食事はさっと胃に流し込める「茶がゆ」というものをとり、休む時間もほとんどないまま労働していたそうです。

 このケースに着目した、故・小山内博先生によれば、胃がん発生の要因は、食後に十分な休みをとらずにすぐにカラダを動かすことを続けた結果だったというのです。

 つまり、食後すぐにカラダを動かすため、血液が筋肉の方へと奪われ、胃に十分な血液が回らないためだったと。 食事をとると、食べたものはだいたい30~40分くらい胃の中にいます。

 食事をすれば胃酸が出ますが、胃酸というのは強烈な「酸」であるがゆえに、殺菌効果もあり、食べ物に付着している細菌なども処理してくれます。しかし、あまり出すぎると、胃の粘膜そのものを溶かしてしまったりします。

 胃炎、胃潰瘍などはそうした結果、起こるものが多いのですが、それを防いでくれているのが胃の「粘液系」です。粘液系が、胃散と拮抗する形で胃粘膜を再生し、胃を保護してくれるのです。

 そして、その粘液系が胃酸に対抗しうる分だけ、しっかりつくられるためには、食後の十分な血液が胃に必要となるのです。食後のゆったりした時間こそ、胃潰瘍や胃がんの最大の予防と言うわけです。

 昭和30年代の林業の方の例が示すように、食後にすぐ行動にうつるような生活が続いていると、胃粘膜が薄くなって、少しの刺激やストレスにたいへん弱くなってしまいます。

 また、カラダばかりでなく、食後すぐに頭脳労働を行なうのも同じことです。胃に行くべき血液が、脳にとられてしまうからです。

 職場や学校の授業でも、食後に眠くなりますが、これも脳を休めて消化活動を優先しようとするカラダのはたらきなのですね。 さて、では、そんな胃潰瘍や胃がんが教えてくれる「才能」とはどんなものなのでしょう?

 胃酸は、食べ物をざっと砕き、おおまかに分解するのが役割です。 胃酸の分泌が相対的に大きい胃潰瘍・胃がんの方の共通の才能とはつまり、何事もざっくりとおおまかにつかむのが上手、というものです。

 ただ一方、「ざっくりとつかんだまま、十分吟味する間もなく、すぐに行動に移す」というテーマも見られます。

 すぐに行動に移すことができるというのは、これもある意味では「才能」と言えるのですが、ただ行動に移すはいいが、「熱しやすく冷めやすい」、あるいは「あれもこれもで体力が追いつかない」、というのがこれまで私がおつきあいしてきたクライアントさんの共通点でした。

 胃は「意」=意識を表します。 古代の言葉が示すところでは「イ」は、「イノリ」、「イノチ」、「イキルこと」のはじまり。

 また、イノチの間(マ)で「イマ」。「イ」とは、イメージ力や意識の方向性、今ここに意識を集中できることを体現する文字なのです。

 ですから、じつは胃にまつわる病気が教えてくれる本当の才能とは、今ここにとどまり、意識を集中させ、イメージを熟成させることができる、ということなのです。

 私達は、明日のことや、昨日のことに意識を奪われて、今ここに生きているという実感を持ちにくい生活に追われがちです。

 今ここで食事をしているにも関わらず、次の仕事のことで頭がいっぱいで、リラックスして食事をすることすら叶わない。

 胃が痛くなったり、胃もたれが続くような時、ぜひ胃に手をあて、こうつぶやいて下さい。 「私は、イノチを深め、生き方を深める時間の方を優先する」 。

 胃潰瘍や胃がんになる前に、しっかりとカラダの声に耳を傾けてケアしてほしいと思います。 カラダを上手に休息させることができるのも、才能のうち。胃が教えてくれるのは、今を感じる能力を磨け、ということなのです。

 

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