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- 作間信司の経営無形庵(けいえいむぎょうあん)
- Vol.100 「気をつけよう」を、社内の禁句に
ミスは、あってはならないが、やはりどうしても起こってしまう。原因を追究すると、担当者のうっかり、ポカ、勘違いなど初歩的なことが多いのが実際である。
そうすると、つい「今度は気をつけて」「ハイ、判りました」で終わってしまう。そしてまた、忘れた頃に同じようなミスが起きてしまう。
ここのところ、工場や物流部門などの改善に立ち会うことが多いが、先日も目の前で配送ミスで品物が他店に届いてしまい、特急便をたてて対応し、一件落着。日報には誤配一件と「気をつけてください」のコメントで終わっており、日報をめくって見ると、何枚も「気をつけて!」が書いてある。誰が誤配をするのか、どの店で起きやすいのか、どの商品に多いのか、曜日か、どのルートか、梱包形態は、駐車禁止の取り締まり強化が要因の一つか、トラックの積み方か、ギリギリの注文か、検品の仕方か、問題を追及した跡が見えない。
特急便の費用は、まるっきりムダなコストである。本当にもったいないし、お店サイドも販売機会を逃している。現場では毎日多くのトラックを仕立てているので、気にはなっていても、システムの見直しをして、誰が運んでも誤配のないように仕組みを変えることが、まだできていない。トヨタ式ではないが「なぜ、なぜ、を繰り返し」真の原因を解決するしかない。
他の部門でも本質は同じである。営業サイドではお客様にクレームとなってあらわれるので、表面化しやすいが社内では、ついつい甘くなるか、仲が悪くなりコミュニケーション不足になって結局は業績を落としてしまう。上司は「気をつけて」で指示したつもり、部下は「聞いたつもり」。悪いことに、社長は、何度も起きると「怒鳴って、問題解決」と、錯覚してしまう。しかし何もかわらない。
後工程はお客様であり、自分の仕事の送り先が本当に望んでいることを?み、より仕事を進めやすくし、誰がやってもミスが起きないように、現場で働く一人一人の知恵を引き出し、仕事を設計することこそ、社長、幹部の役割である。
一番の敵は「気をつけよう」の言葉であり、現場の人たちが具体行動で判るミス防止策とルールの明示である。交通事故を激減させた例もある。