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- 作間信司の経営無形庵(けいえいむぎょうあん)
- Vol.101 「名前のない会社」と「名前のある会社」
二週間前に開催されたY社長の事業発展計画の発表会は、社長の熱い覚悟が込められた、本当に心に響くものであった。
建設関連の土木工事会社であるために、ゼネコン側からすれば、まさに、名もなき下請企業の一社である。
実際、現在顧問のK氏は、以前、中堅ゼネコンの社長をやっておられ、発表会の激励スピーチでも、発注していた時は「土木工事○○○○一式××××千万円としてしか認識していなかったなあ」。
誰が施工しているかなど、事故さえ起こさなければ関心もなかった。本当に「名前もないんだよ」と。
しかし、社長が「名もない存在」に甘んじていては、決して、いい会社にもならないし、事業の繁栄も、優秀な人材の育成も定着も、あり得ない。
Y社長はこの10年間、自分達が属する業界自体のレベルアップと自分に人生を預けてくれた社員一人一人の人間的成長を本気で念じ、様々な手を打ってきた。
必ずしも全社員に、その真意は理解してもらえないが、目を輝かせてついてくる若者も徐々にではあるが増えてきている。
売上はまだ小規模ながら、日本初の大型機械設備を海外から導入したり、独自工法を開発し特許を取得したり、本当に目を見張る活躍である。
ただ、同業者には、ドン・キ・ホーテを見るような、異色の存在としか映っていない。Y社長は、歯牙にもかけていないが、その歩みは確実である。既に大手ゼネコンの一部からは注目もされ、これからが、業界自体の地位向上の本番である。
ここまで来るのに10年の時間を費やした。まだまだ10年、20年の時間が必要だとは思うが一歩目が動き出すと勢いがつく。
社長の「コンチクショー」にも似た熱い覚悟が、Y社の幹部、若手の疑心暗鬼を払拭し、「俺たちにもできる」という火を一人一人の心に付けたときから、「名前のある会社」への本格転換が始まる。これからが、ますます楽しみである。