menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

マネジメント

第19回 決断の選択肢

社長の右腕をつくる 人と組織を動かす

「日本人は、たいへん勤勉でよく働く。けれども、ひとつだけ惜しい欠点がある。
熱心さのあまり何でもかんでも追い求めて、虻蜂(あぶはち)取らずになる危険性があることだ」

ジョンソン・アンド・ジョンソンにいたとき、尊敬するイギリス人先輩から、しばしばこう指摘されたものだ。

「虻蜂取らず」。広辞苑によれば、「あれもこれもと狙って一物も得られないこと」となっているが、その先輩の言葉の裏には、
「大事なことは『あれもこれも』ということではなく、『あれかこれか』で考えることである」といった意味が含まれていたはずだ。


そして、このことは、多くの局面においてあてはまる。

例えば営業の話をしようというとき、営業マン100人全員のレベルアップを図ろうと、
資金や資材を全員に投入しても効果が薄いことはよく知られてい る。

イタリアの経済学者パレートは「入力の20%が、出力の80%を決定する」という、いわゆる、「20-80の法則」を提唱した。
例えて言えば、営業マンが100人いたとして、成績上位者20人の売上が、全体の80%を占めるということである。

あるいは、「2・6・2」対「5・4・1」という説もある。
営業マン100人を上・中・下にランクづけすると、それぞれ、2割・6割・2割になる。
そ して、上位ランク20人が全体売上の5割を占め、中位ランクの60人で4割、
そして、残りの下位ランク20人は全体の1割の売上しかない、というものだ。

上位2割で80%か、それとも50%か。いずれにせよ、上位の2割の人が大きな比重を占めていることだけは確実だ。
ということは、つまり、営業を強化しようと資金や資材を投入する場合、上位20%に集中すれば、
全体をコントロールすることが可能であるということになる。


リーダーとして、営業マンの育成を図ろうとする場合、時間とお金をトップ20人に集中投下して先導役に仕立て上げ、
残りはその先導役に引っ張られる形にした方が効率的である、ということだ。

また営業に限らず、会社の中で営業力を持ち、声も大きく(発言の重みがあるという意味で)、
しかも、正しいことを言う2割の人間をつかめば、おおよそ会社全体を動かすことが可能であるといえよう。

「あれかこれか」、テーマを絞ることは、勉強をしようとする場合でもポイントとなる。

何もかも勉強しよう、すべての面で力をつけようとしても不可能なのは自明の理だ。
それよりも、その年の課題として、何に集中するかテーマを決め、それをひとつひとつ片付けていった方が、
確実に自分のものとなるはずだ。

あるいは、経営課題(部や課の課題でも同じ)として、10項目も20項目も挙げるリーダーがいるが、
そういう会社(部や課)はうまくいかない。

人間はいち時に、10も20も主要課題にチャレンジできるはずがないからだ。
理想的にはせいぜい2、3項目、妥協しても5つまでが限度である。

「あれもこれも」と欲張らず、「あれかこれか」の決断をして、決めたからには実行する。こうした姿勢が大切だ。



新  将命     

第18回 リーダーの『三識』前のページ

第20回 弱点をさらけ出せ次のページ

関連セミナー・商品

  1. 社長が知るべき「人間学と経営」セミナー収録

    音声・映像

    社長が知るべき「人間学と経営」セミナー収録

  2. 会社と社長個人の5大リスク対策セミナー収録

    音声・映像

    会社と社長個人の5大リスク対策セミナー収録

  3. ジャパネットたかた創業者「高田 明の経営法」セミナー収録

    音声・映像

    ジャパネットたかた創業者「高田 明の経営法」セミナー収録

関連記事

  1. 第65回 『相場の立つ人間』

  2. 第18回 リーダーの『三識』

  3. 第38回 『事実と誤解』

最新の経営コラム

  1. 朝礼・会議での「社長の3分間スピーチ」ネタ帳(2024年11月20日号)

  2. 第七十八話 展示会後のフォローで差をつける「工場見学の仕組みづくり」

  3. 第219話 少人数私募債の相続対策

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. 新技術・商品

    第82話 「日本版」はどう進展するのか?
  2. 不動産

    第39回 工場跡地は土壌汚染を調査してから購入する事。
  3. ビジネス見聞録

    講師インタビュー「儲かる会社をつくる技法」横田尚哉氏
  4. マネジメント

    朝礼・会議での「社長の3分間スピーチ」ネタ帳(2024年7月10日号)
  5. 社員教育・営業

    第34講 カスタマーハランスメント対策の実務策㉑
keyboard_arrow_up