本稿が公開される頃は、ちょうど読者の皆様の会社でも夏季休暇の最中ではないでしょうか。もっとも、夏季休暇の設定の仕方は、会社の業種や規模によっても大きく変わってきますし、会社の考え方も大きく影響します。
いわゆる「お盆休み」として、お盆の時期に多くの方が規制するのに合わせて、会社も夏季休暇を設定することが多いようです。
全国的には新暦のお盆(7月13日~15日又は16日)から1カ月後の月遅れのお盆(8月13日~15日又は16日)の時期に、かなりの企業が夏季休暇を設定します。
金融機関やお盆が繁忙期の小売業や飲食・宿泊サービス業、流通業等では、通常は会社や事業場としてまとまった休みを設定することはできませんから、社員は交代で夏季休暇を取得することになります。実際には、7月~9月の3ヵ月程度を夏季休暇の取得期間として設定し、社員からの申出を基本としつつも、職場内では休暇が重ならないように調整するというパターンが多いようです。
これに対し、製造業では一斉休業とするのが普通です。その理由として、工場のラインを一斉に止めることで点検・メンテナンスのまとまった時間がとれること、お盆の時期は親会社や取引先も休みとなるなど、需要が落ち込みやすい時期に在庫バランスを調整しやすいといった効能も指摘されるところです。何より昨今の過酷な暑さに見舞われる時期に、光熱費や水道代などコスト低減にも繋がることが大きなメリットといえるでしょう。
今年のカレンダーでは、山の日(11日)が金曜日にあたりますので14日から18日までの5日間を夏季休暇とすることで、11日から20日までを10連休とする会社も製造業を中心に多いようです。
通常の年次有給休暇とは別に、夏季休暇を全て有給の特別休暇とする会社も主要企業等では見受けられますが、中堅以下の製造業では、有給休暇の取得促進の意味合いも込めて有給休暇の計画的付与と有休の特別休暇を合わせて、大型連休とする事例が増えています。先の10連休の例でいえば、夏季休暇は3日でも、有給の計画付与2日と合わせれば、もともと休日の土日2回分と合わせて10連休となるわけです。
その背景には、有給休暇の取得率の低いわが国において、その取得促進を目指す厚生労働省の広報戦略なども影響していると考えられます。
さて、皆様の会社の夏季休暇は、どの様に設定されていらっしゃいますか?
夏季休暇のすべてを年次有給休暇の計画的付与によって賄われている会社もありますが、前回のコラムでも取り上げたように、休暇の取得状況をも含めた賃金以外の就労条件が社員の定着に大きな影響を与えているという事実もあります。これまでの慣行で夏季休暇を設定してきた会社が多いと思いますが、自社にとっての夏季休暇の位置付けを明確にし、有意義な“夏休み”にしてください。