伊賀上野に仕事で行った際に、崇廣堂(すうこうどう 国史跡)という藩校が保存されているのに気が付き入ってみました。(左写真)
1821年に建てられた学校の教室はだだっ広い畳の部屋で、当時は暖房などなかったと思います。
雪の降る日だったのでとても寒かったのですが、昔の人たちはこんな環境で勉強していたのだと思うと身が引き締まりました。
さて、今回はチョコ案制度の9つの特徴のうちの 7)についてご説明いたします。
1、大きな成果を求めない。
2、独創性を求めない。
3、会社の役に立つことや仲間が喜ぶことであれば、従来の改善提案の常識にとらわれずすべて評価する。
4、結果のみでなく、プロセスも評価する。
5、報告の用紙も極力簡素化し、「改善以前の状況」と、「改善後の状況」と「自分の氏名」の3点を書けばよいというメモ程度の内容で十分とする。
6、一般の改善提案制度のように内容の等級付けをしない。
7、報奨については1件100円前後の金額が妥当であると考える
8、1ヶ月に全員が最低でも1件の改善を実行して報告するといったルールを設ける。
9、気軽な発表会を実施し、みんなで改善というものに慣れ親しむ。
それでは、7、報奨については1件100円前後の金額が妥当であると考えるの特徴について続いて詳しく説明します。
さて、報奨を決めようとすると、「果たしてお金やモノなどのご褒美が必要か」という議論が出ることが多いです。人はお金で動くものではなく、むしろ、きちんとほめてあげることの方が大切なのではないかという考えです。もちろんそれも筋が通った考えです。ただ一回だけの改善であれば、お褒めの言葉は大いに有効で大切なことですが、それだけで引き続き活動できるかというと難しいと思うのです。
私はこの仕組みを一過性のものと考えておらず、会社において未来に向かってずっと継続する必要があるものととらえています。そして、チョコ案制度は全員が一か月に最低一件は改善を実行することが前提になっており、その結果、実行される改善の量は半端ではありません。
すべての改善の一つひとつを上司の方がほめ続けるというのは、とても無理なことだと思います。そこで、手間がかからない仕組みを作って、タイムリーに褒章をお渡しできるようにすることで、感謝の気持ちと今後への期待が伝わるようにするべきと考えます。
そこで、私はチョコ案一件につき、100円の報奨をお勧めします。もちろん、会社の実態や環境によって金額を決めればよいと思いますが、100円と設定したのには、それなりの理由があるのです。
理由は以下2つです。
まず、金額が高すぎると、当然のことながら会社の負担が大きくなります。例えば大企業では、改善提案制度の最低賞金が500円というところが多くありますが、私の指導先の多くの中小企業を見ていて、一件について500円という金額は会社にとってかなりの負担になるのではと思います。
そしてもう一つの理由は、改善を実行して報告する側にとっても、この程度のちょこっとした改善で500円ももらうのは申し訳ないという気持ちも出てしまうからです。じつは、それが一番困る理由です。チョコ案は気軽に、どんどん改善案を出すという趣旨ですから、みんなが遠慮してしまうような金額では、本末転倒です。
以上2つの理由から、だいたい妥当な金額は100円だと考えたのです。それに、一件はわずか100円でも、ひと月に5件の改善を実行すると報奨金は500円となり、それは主婦のパートタイマーの方であれば、会社の帰りにお惣菜が2パック買える額です。それは結構嬉しいことだと思います。
繰り返しになるますが、100円が唯一絶対の答えではありません。実際に私の指導先の会社でも、それより多いところも少ないところもあり、いろいろです。個人でなくグループに渡している会社もあります。また、お金でなく商品を用意してそこから選んでもらっている会社もあります。さらに、渡し方についても、毎回賞金を直接渡す会社もありますし、スタンプカードを作って、ある程度まとまったところで引き換えとしている会社もあります。
このように、やり方は各社それぞれです。どうぞ、皆様が楽しく継続的に改善ができるようなやり方を工夫して下さいね。
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