プロジェクトのために比較的短期間に賛同者から少額資金の寄付を集めるクラウドファンディングは、国内市場規模が2021年度で1,640億円とされ、国内最大規模のキャンプファイヤーは、2011年以来7万4,000件のプロジェクトを掲載、支援者数940万人、流通額700億円に達している。
2022年の世界クラウドファンディング市場は149億ドル(2兆円)で、2028年には289億ドル(4兆円)に成長するという予測も出ている。
日本ではクラウドファンディングは寄付的な要素が強く、2011年の東日本大震災の復興支援やコロナ禍での飲食店などの支援にも使われているが、世界では新製品の開発資金やマーケティングにも使われている。
■国立科学博物館・クラウドファンディング
日本で今話題となっているのが国立科学博物館のクラウドファンディングだ。
東京上野にある国立科学博物館は150年の歴史を持ち、幅広い分野の標本・資料を500万点収集しているが、コロナ禍による入館料の減少や最近の光熱費、原材料費の高騰によって標本・資料の収集・保管に必要な資金が不足、8月7日に1億円をクラウドファンディングサイト「READYFOR(レディーフォー)」で集めるという企画を発表した。
開始後9時間で目標の1億円を突破、2日間で4億円(支援者2万人以上)、8月13日に6億円(支援者4万人以上)を突破し、国内の博物館・美術館を含む文化系のクラウドファンディングとして史上最高額となった。
●オリジナル図鑑(15,000円)
●オリジナルラベル日本酒(10,000円、支援者:292人、完売)
●隕石アクセサリー(50,000円、支援者:69人、完売)
●筑波実験植物園内で落葉やどんぐり採取を特別体験 (中学生以下対象、10,000円、支援者:4人、完売)
●バックヤードツアー・館長&副館長コース(50,000円、支援者:20人、完売)
●隕石アクセサリー(50,000円、支援者:69人、完売)
●法人向け・研究者が出張講演(1,000,000円、支援者:2人、完売)
●法人向け・「シアター36〇」命名権(1年間、10,000,000円、支援者:1人、完売)
など魅力的な40種類以上のリターンコース(返礼品)が用意されたことや、「子どもが小さい頃によく連れて行って、お世話になったお礼として」というファンのサポートなどが多くの支援金が集まった要因のようだ。
8月20日時点で支援金は7億円弱まで増えているが、篠田謙一館長は「既に当初の目標金額をはるかに超えており、当面の間、経営を安定化させることが可能になりました」とした上で、寄付を他の博物館の事業にも活用する検討をしていると話している。
ベンチャー企業が新たなアプリ開発、新製品開発のために少額資金を短期間に調達したり、災害などの支援などに活用されているクラウドファンディングは、オンラインでプロジェクト理念を共有するSNS時代を反映する手法のようだ。
======== DATA =========
●国立科学博物館・クラウドファンディング「地球の宝を守れ」
https://readyfor.jp/projects/kahaku2023cf
●キャンプファイヤー
https://camp-fire.jp
●READYFOR(レディーフォー)
https://readyfor.jp