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採用・法律

第108回『インボイス制度とはどのような制度ですか』

中小企業の新たな法律リスク

スーパーマーケットを経営する伊藤社長が、賛多弁護士のところへ法律相談に訪れました。

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伊藤社長:お久しぶりです。最近、「インボイス制度への対応、間に合っていますか?」という内容のテレビCMをよく見かけます。もちろん、弊社もインボイス制度への対応を進めていますが、顧問税理士と経理担当者に丸投げ状態となっており、私自身、何が変わるのかよく分かっていません。いまさら顧問税理士に聞くのも気が引けるので、今日は、インボイス制度について基本的な内容を教えていただきたいです。

 

賛多弁護士:分かりました。詳細な内容にまで踏み込むとかえって分かりづらくなってしまうので、今回は、概要についてご説明します。インボイス制度は消費税法に関する制度ですので、まずは、消費税法についてご説明します。

 

伊藤社長:お願いします。

 

賛多弁護士:消費税は、ほぼ全ての国内における商品の販売やサービスの提供等を対象として課される税金です。最終的に商品を消費したりサービスの提供を受けたりする消費者が負担することになりますが、消費税の納税義務者は、消費者ではなく、事業者となっています。

 

伊藤社長:弊社のようなスーパーマーケットで考えると、1個1000円の商品をお客様に販売する場合、標準税率10%の商品は、1個1100円(税込)で販売します。そのため、消費者であるお客様が消費税を負担していることになります。そして、事業者である弊社が消費税を納税しています。

 

賛多弁護士:そうですね。例えば、その商品を1個700円(税込770円)で仕入れた場合、御社が納付する消費税額は、何円でしょうか。計算方法は色々ありますが、今回は、この取引についてのみで考えてみましょう。

伊藤社長:分かりました。弊社は、簡易課税制度を選択していないので、売上税額100円から仕入税額70円を引いた30円を納税します。

 

賛多弁護士:そのとおりです。消費税の課税対象となる取引は最終消費者に物品やサービスが購入される前の生産や流通等の各段階に及びます。

例えば、生産者と卸売業者との間、卸売業者と小売業者との間の取引にも及びます。消費税の納税義務者は、各段階において取引を行う各事業者とされており、最終消費者は、これらの事業者が生産や流通等の各段階で物品やサービスの価格に順次転嫁されていった消費税等の額を最終的に負担することになります。

そこで、消費税額については、納税義務者である事業者が国内において課税仕入れを行った場合、生産や流通等の各段階で二重、三重に税が課されて税負担が累積することのないように、課税売上げに係る消費税額(売上税額)から課税仕入れ等に係る消費税額(仕入税額)を差し引いて計算します。これを仕入税額控除といいます。

 

伊藤社長:税負担が累積しないようにするために、仕入税額控除があるのですね。仕入税額控除が認められないと、売上税額から仕入税額が控除されないため、100円を納税することになってしまいます。たしか、仕入税額控除を受けるためには、帳簿と請求書等の保存が必要でしたね。弊社では、主に、仕入先が発行し交付した請求書等や、弊社が発行して仕入先の確認を受けた書類を保存するようにしています。

 

賛多弁護士:簡易課税制度を選択した事業者を除き、帳簿及び請求書等を保存しない場合には、原則として、保存がないものについて仕入税額控除を受けることはできません。令和5年10月1日から開始されるインボイス制度では、この請求書等が変更されます。

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