menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

健康

第24回 「役割を全うする」

社長の「氣」

 「社員にやる氣を持って仕事をして欲しい」
 そのヒントを探しに「氣の道場」に来られる経営者がいます。会社で実際にいる「やる氣のない」社員の顔を思い浮かべて受講されているようです。
 「氣の道場」では、やる氣を「未来に氣が通ること」と定義しています。「氣が出ている」と言っても同じことです。「やる氣がある」とは未来に氣が通っている状態であり、「やる氣がない」とは氣が通っていない状態ということです。
 ひとことで「やる氣がない」と言っても、大きく分けて二つあります。
 一つは、元から「やる氣」がない場合。もう一つは、元は「やる氣」があったのに、何かのきっかけで失っている場合。やる氣が見られないという点では同じでも、その意味は完全に異なります。
 前者の場合、残念ながら「氣の道場」でお応え出来ることは何もありません。その姿勢は本人の仕事観、もっと言えば人生観に基づいたものですから、研修やトレーニング等で変えることは至難の業です。あるいは、膨大な時間と労力をかければ可能かもしれませんが、会社は家庭ではないので現実的ではありません。採用が重要ということです。
 後者の場合、やる氣を失った原因が何かしらあるはずです。それを改善することで、またやる氣が出てきます。その原因は様々ですが、その一つが「期待に応える」という考え方です。
 経営者であれば、社員に期待することが沢山あるはずです。それを言葉にして伝えている方も多いでしょう。しかし、社員が「期待に応えよう」とすればするほど仕事は上手くいかなくなります。なぜなら、その「期待」は常に変化しているからです。ゴルフで言えば、目標としているカップが常に動いているようなものです。
 期待をよせる人が多くなればなるほど、その「期待」は異形のものになります。十人いれば十人の期待があり、総ての期待に応えることなど不可能です。それにも関わらず、人は「期待に応えよう」としてしまうのです。
 したがって、二代目・三代目の経営者は特に大変です。彼らの相談を受けると、必ずこの問題が出て来ます。「周囲の期待に応えたい」というと、私は「期待になど応える必要はありません」と答えます。例外なく相手は驚いた顔をします。
 そして、「期待に応えるのではなく、自分の役割を全うしませんか。それには、まず自分の役割を正しく知ることが大切です」と伝えます。たとえ多くの人の期待にそぐわなかったとしても、自分の役割を全うすれば結果は出るのです。期待に応えようとすればするほど結果が出なくなります。
 こう話をすると、彼らの表情は途端に晴れやかになります。「期待に応えよう」とする考えが不要なプレッシャーになっているのでしょう。
 経営者は、社員に対して会社(あるいは部署)の全体像を示し、その上でその社員の役割を明確に伝えることです。そして役割を全うしたら正しく評価をすることが重要です。
 しかし、多くの会社や組織は「役割」を明確に示さず、「期待」という曖昧なものしか示しません。したがって、正しい評価が出来ません。社員からしてみれば、マラソンでゴールを目指して一生懸命に走って来たのに、いつの間にかゴールの場所が変わっている。それでは努力は報われませんし、やる氣をなくして当然です。
 社員一人一人が自分の役割を正しく知り全う出来る会社は、未来に氣が通っています。「氣が出ている会社」となるのです。
 私自身のことを振り返れば、先代の藤平光一から道を継承するにあたって、多くの人から様々な期待をされました。藤平光一は私の果たすべき役割を明確に示し、私もそれを理解していましたので、自分の役割を全うすることに専念出来ました。
 5年後、10年後の私は、周囲からの「期待」によって決まるのではなく、組織おける、あるいは世の中における「役割」によって決まります。
 これを広く「人生」として捉えれば、昔から「天命を知る」と言われるように、天から与えられた役割を正しく知ることです。天命を知る人は、人生に氣が通っています。「氣が出ている人生」となるのです。
 私自身の最大のテーマです。
 
 

 

第23回 「思い込みを壊す」前のページ

第25回 「リラックスと虚脱」次のページ

関連記事

  1. 第25回 「リラックスと虚脱」

  2. 第27回 「人を育てる」

  3. 第11回 「肩こり・腰痛」

最新の経営コラム

  1. 第212回 税務調査にひるむな!

  2. 第182回 ラ・ビエール @群馬県みなかみ温泉 ~みなかみらしいきのこのピッツァと名物のプリン

  3. 第41回 中小企業におけるスカウト採用(中途採用)の考え方

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. マネジメント

    第22回 社員の幸せを考えるブレない経営とは?~事例:アイリスオーヤマ
  2. 経済・株式・資産

    第53回 ギフト市場の勘所を押さえて、目を見張る高成長を遂げる「寿スピリッツ」
  3. 仕事術

    第119回 ネット時代の新潮流 立体オーディオ
  4. 戦略・戦術

    第263号 25兆9,200億円
  5. 製造業

    第321号 【急所77】色々な情報も、元をたどれば注文情報ただ一つである
keyboard_arrow_up