F・・・Facial Expression 社長の「顔」
11月6日の米大統領選を控え、先日3回目の直接対決である討論会が行われたアメリカ。政策やそれを如何に有権者に伝えるかというアピール力その戦略など、様々な要素が求められ試される。自分一人で行う演説ではなく、相手との討論という「戦い」を、目の前にいる聴衆、そしてメディアを通じカメラの向こう側にいる多くの有権者そして世界各国の人々に注目され、その国を代表する人間としての資質と可能性を試され計られる、アメリカという国の「顔」を選ぶ重要なイベントなのだ。
どの様なことを考え話したか、どのように相手を対応したか、その内容も非常に大切だが、ビジュアルの力、中でも表情や顔の状態といった、人の視覚に訴えかける印象は非常に重要であり、1960年に行われた米大統領選におけるケネディ対ニクソンによって初めて行われたテレビ討論会、そしてケネディの勝利という話は未だに語られる程である。視覚的情報による印象とインパクトは、人間の感覚と記憶に鮮烈に刻み込まれ、言葉でいくら補おうとしても覆せない場合さえある訳である。
これは、企業の「顔」として存在する社長にも同じことが言える。メディアに露出する際は勿論、日常的にもその会社の顔として他者から見られ評価されていることを常に念頭におき、意識し続けること、自分の顔に責任を持つこと、どのようにマネジメントするかということ、これら全てが社長の重要な仕事の一つであり任務であると私は常にクライアントにお伝えしている。それは単に美醜という話ではなく、それに相応しい状態やあり方にしておくべきであるという意味だ。他者に期待をされるに値する「顔」であり続けることなのだ。それが企業のブランドを構築し、信頼と経営力をより高めていく原動力となる。
それを表現する一つが社長のポートレート。会社の存在を背負い、他の誰でもない自分がトップであることを如何に表現するかが鍵となる。その時に身につけている物、写真の撮られ方、肌の具合、表情、全てが「顔」として集約され、企業の「顔」を作り上げる。会社のウェブサイトを持ちながら、顔を出さない社長も勿論いらっしゃる、出さないことが戦略であることも多々ある。しかしながら、社長の顔が見える企業の方が人に選ばれることは確かであり、社会における明るい印象を抱かれることは事実である。そして企業の顔、社長の顔として露出する際、これに求められるのは、健康的で活力ある、余裕のある表情、目の輝き、凛々しい口元、良い肌の状態。ケネディとニクソンの戦いで、若々しく精悍なケネディが勝利したのは、彼の印象を引き立て、遊説での疲労をカバーする為の衣装を選びとメイクの賜物であり、反対に、それをしなかったキャリアのあるニクソンは、疲れにより更に年齢を重ねたかのように見えるビジュアルが、敗因となったと言われている。やはり生き生きとした表情はアメリカ国民が大統領という存在に求めることであり、明るい未来を期待させる重要な要素だったことが証明されている。
社長の顔、それは形状の美醜を超えたその人の価値であり、社長の任務の一つとしてマネジメントすべき重要なビジネスパーツである。「男の顔は履歴書」などとも言われるが、社長としてのいい履歴書を一目で伝え、周囲に未来への更なる成長という期待をさせる、そんな顔であり続ける為にも仕事のみならず、その伝え方とそれがもたらす社長個人そして企業に対する印象についても是非意識を持ち続けてほしい。そういう企業は必ずや高い評価を得られる、そして成長し続けることができるのだから。