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製造業

第256号 改善の急所 実践編

柿内幸夫─社長のための現場改善

 私は以前から定期的に献血をしています(ちなみに今回で73回)。そして毎回良いなぁと思うのが、下の写真のように、自分に関する書類やデータを自分が持って回ることです。なぜなら、これはまさに私が現場でしばしば話す「モノと情報の一致」だからです。

256.jpg

 

 さて、それでは本題に入りましょう。私はいつも次の3つの考え方をもって改善を実行しています。一つ目は“流れを作ること”、二つ目は“全体最適をめざすこと"、三つ目が前回までのコラム「チョコ案制度」の中で詳述した、”全員が参加すること”です。

 

 そこで今回から、前記3つを現場でどのように使って経営力を向上させるかを、私の著書『儲かるメーカー 改善の急所101をベースに、具体的な事例を織り込んでお話しいたします。題して、「改善の急所 実践編」です。

 

 さて、それでは第一回目は、改善の基本中の基本といえる“5S”についてお話しします。

 

 先日、埼玉県のU社に伺った時、たまたま生産部門配属の新入社員教育が行われていました。

 

 生徒は4人の新入社員で、先生は私の改善事務局をして下さっているS課長でした。そこで、教室の後ろから入って様子をうかがってみると、ちょうどS課長が新人くんに5Sの説明をしているところでした。以下、S課長と新人くんのやりとりの模様を、絵でご説明します。

 

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 私は、新人くんがパッと答えたので驚きました。そして、そのまま様子を見ていると…

 

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 私は、新人くんがこの難しい質問にも正しく答えたので、さらに驚きました。U社の新人の皆さんが相当勉強していることが分かります。さらに様子を見ていると…

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 私は思いました。

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 と。そこで、講義のあとにS課長に聞いてみたところ、こういう答えがかえってきました。

 

 S課長いわく、「実は、清潔としつけはうまく説明ができないんです。一般に言われている定義は知っていますが、どうもピンと来なくて…。」

 

 ちなみに、一般に言われている定義とは、清潔が「3Sを維持すること」、しつけは「決められたルール・手順を正しく守る習慣をつけること」です。

 

 実はコンサルタントとして5Sを改善で活用している私も、S課長と同様に「清潔」と「しつけ」の説明は苦手です。というのも、私が持っている「清潔」という言葉のイメージが、この5Sの定義と結びつかないからです。また、「しつけ」という言葉には、上から目線の押しつけ的なイメージを感じるので、私は使いたくないのです。

 

 では、私が改善で実行している5Sとはいったい何か。そして、何を目指しているのか。この2点を改めて考えてみました。そして、私がやっている5Sを新しい5つの言葉で定義してみました。

 

 それは、「整理・整頓・清掃・しくみ・幸せ」の新5Sです。最初の整理・整頓・清掃の3Sは同じです。それでは、「しくみ」と「幸せ」とは一体どういう意味か、それは以下のとおりです。

 

 「整理・整頓・清掃」は、一過性の活動では意味がありません。ゆえに、いつも高いレベルの3S活動を維持するためには「しくみ」が必要です。

 

 そして、そもそも5Sは、全社活動です。一部の職場の活動ではありません。社長を筆頭に、全員で助け合って実現します。みんなが会社全体と自分の職場をきれいに、気持ちよくして、生産性を向上させます。

 

 すると、すべての人が会社経営において貢献するので、全員の居場所が明確になります。これにより会社は強くなり、結果的に、働くすべての人が「幸せ」になります。

 

 これが、私の定義した「新5S」です。皆さんの会社でも、これから行う5Sを「整理・整頓・清掃・しくみ・幸せ」の観点から見直し、実行計画を立てて頂きたいと思います。きっとこれまで以上に楽しく実りの多いものとなることでしょう。

 

 【急所100】 
 これからの日本の製造業に必要なのは、「整理・整頓・清掃・しくみ・幸せ」の新5Sである。

 

◎柿内幸夫と行く!隠れた「お手本」企業の工場見学 http://jmcasemi.jp/seminar/seminar.php?CONTENT_ID=668

 

※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。etsuko@jmca.net 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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