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社長業

Vol.150 ブームを作る、ブームを業績に結び付ける

作間信司の経営無形庵(けいえいむぎょうあん)

 一昨日、生まれ故郷(山口県下関市)で、長年造り酒屋を営んでおられる内田社長と神楽坂の飲み屋で、いろいろと情報交換させていただいた。
 
 ご存じの通りNHK「龍馬伝」で高杉晋作が活躍したところだったので、さぞ地元では観光客が溢れ、酒蔵見学も大繁盛と思いきや、まったく盛り上がっていない、と。
 
 リーダー不在で時を逸してしまった。全く、もったいない。
 
 ちょっと古いが、戦艦大和の映画がヒットした時は、観光ルートに組み込まれた、呉市の造り酒屋さんはお客様が連日のように来られ、かなりの商いをされた。
 
 いま、東京ではスカイツリーの建設が480メートルを超え、オープン前にもかかわらず休日ともなれば多くの見物人が業平駅の周りをウロウロしている。
 
 ここで、人気を博しているのが、お蕎麦屋さんの「かみむら」である。
 
大きなエビが3本、丼の上に立っており、名付けて「タワー丼」1800円也。
 
昼過ぎであったので、35分待ち。やっと着席し注文をしてテーブルにタワーが届くと、どのテーブルでも写メや、デジカメでみんな記念撮影。
 
 よく考えれば「特上エビ天丼」。でも、タワー丼と名付けて、エビを立てると、元祖~と名乗れる。周りの店舗では?と見回してみると、他ではあまり便乗商法的なことはやっておらず、行列もない。もったいない限りである。
 
 マスコットキャラクターの「なりひらくん」は全くダメそうである。
 

 若狭湾にある小浜市(福井県)にお邪魔した時、すごく頑張っているな~と感心した。
 
 オバマ大統領が選挙に出た時も、同じ名前ということで、アメリカまで名前を売った。
 
駅前のお店ではオバマ饅頭?せんべい?まで売っている。
 
 先日の10月の3連休のときは、「大屋台村と物産展」を2日間やっておられた。県外ナンバーの車も朝から多く走っている。テレビで有名になった「B級グルメ選手権」の出場店も出店しており、結構な賑わいであった。
 
 NHKの朝の連続ドラマ「ちりとてちん」が放送されてたときは、舞台となった若狭湾の周りは、連日の観光バスで大繁盛。地場産業の代表である若狭塗りの箸も、10年分が一年で売れたとか売れないとか噂されるくらいであった。
 
 実際にいまでも、高速道路の無料実験のコースに選ばれたこともあり、少なくなったとはいえ客足は途絶えない。もともと人口3万人の地方小都市である。少しでも地域外からの集客に努めるしかない。
 
 その小浜でお箸の有名専門店「せいわ」さんを覗いてみた。実によく出来ていてお客様を楽しませてくれる。
 
 なによりも、モノを売るのではなく、体験を交え楽しんでもらえるように工夫がされていて、つい商品に手が伸びるようになっている。またお客さんからの感謝の手紙やお礼などもさりげなく展示してあり、立ち止まって読んでいるうちに、その商品を探してしまう。
 
 よくよく考えてみるとお土産を買っているようで、実際には若狭に来た思い出を作れるように仕掛けがしてある。近所の店に行けば、スーパーでも箸は売っている。同じものを売っていては価格競争しかないが、観光地に行くと気持ちが違ってくる。
 
 これを「心理的サイフ」と呼ぶが、多くの人は何か面白いこと、話題、楽しことを求めている。決して不況でサイフが締まっているだけではない。こちらサイドの工夫が足りないだけだ。
 
 B級グルメの選手権も今年で5回目を数えるはずだ。一説には経済効果50~60億円というから地方の飲食店にとってみればとんでもないくらいのインパクトを持つ。
 
 ブームに乗ることも大切、ましてやブームを仕掛ける一人のリーダーの存在が、もっと大切になる。
 
 2011年のNHKは「浅井三姉妹」の物語に決まっている。琵琶湖の近く湖北が舞台と聞く。若狭湾も決して遠くない。また何を仕掛けてくるか楽しみである。

 

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