いろいろな経営メリットが考えられるが、いい社外取締役は本当に社長のブレーンにも、ブレーキにもなっている。強い味方だ。
幾人かの社長に、社外取締役の条件を聞かれたが、要約すると次の4点くらいに集約される。
2 お金持ちであること
3 社長が求める「専門領域」を深く実務体験していること
4 自社より大きいスケールで会社を見れる人
オーナー社長にとっては、ほとんどの場合「耳に甘いこと」しか入ってこない。
ましてや、売上も50億100億と伸び、公開でも果たせば、誰も面とむかって厳しい意見を言ってくれる役員はいないと考えた方がいい。
いい社外取締役は、唯一、面とむかって社長に厳しい意見を言ってくれる。多くの専務や、常務や、取締役は、内心「よく言ってくれた!」と密かに拍手を送っている。
1~4を詳しく説明すると長くなるが、以下に若干のコメントを記しておきます。
企業であるから、様々な事情や、社員の個人的な都合もいっぱいあるが、スジの通った正論を通さないと中堅からの成長が止まってしまう。
特に同族の問題や、過去に功労のあった幹部など情において判断のゆらぐ問題はいっぱいあるが、是は是、非は非をズバリ言えないと重責は任えない。
説得力も重要な才能であるし、社長のために腹芸のできる人物であれば、もっと心強い。
社外取締役の報酬を一切当てにしないくらいの収入がないと、やっぱりダメだ。人間はそんなに強くない。
多くの社外取締役を存知あげているが、皆さん、報酬の金額はほとんど気にしていない。ある 元)一部上場企業の社長は月額10万円。送迎の車も断っている人もいる。役員会ではほとんど発言しないが、社長に意見のある場合は、よほどのことがない限り、「一対一」でしか言わない様にしているとの事。
皆、親身に「社長の力」になりたがっている。
会社が大きくなっていくなかで、販売も、人事も、財務も、海外戦略も、技術も、より高度なノウハウが必要となってくる。
自社のスタッフを冷静に棚卸しして、強化しまければならない部門の専門知識と実体験をもった先輩を迎え、人脈、ノウハウをキチンと社内に定着してもらうように教わること。
ある250億の公開企業が、T氏を社外取締役に迎えた。T氏は他に2000億のメーカーの社外取締役も引き受けておられるが、T氏にとって5000億くらいまでの企業成長に伴う諸々の問題が見えている。
なぜならT氏自身、社長として、会長、取締役の立場で、既に7000億までを体験ズミであり、政治力も国際経営感覚も、社内の人事力学も過去形である。
それでも昔の体験だけで判断することなく、今日の経営実務の裏づけをとって的確なアドバイスを行って行られる。
あくまでも三現主義に徹している社外取締役は、強い味方だ。