「土地は売ってしまいなさい」
私は社有地の生産性が悪いと思っています。
子会社(不動産賃貸業)を作って、そこに売却しなさいと申し上げているのです。
含み損が出る-― 売却すれば特別損失が発生し節税になります。
キャッシュフローが良くなります。
含み益が出る-― 99%所有の子会社をつくり売却しなさい。
含み益は持ったままでいいのです、税はかかりません。
私の顧問先に朝日厨管工業(株)(仮称)がありました。戦後は売れていた設備機器も売れずになり、設備工事業をして生き延びてきました。会社は都内でそこそこの規模で事業は進めていたのですが、旧の工場用地資材置き場が流通革新にのった量販店やスポーツ、自動車の小売店舗に貸出、結構な売上・利益をたたき出したのです。
営業外収益で厨管工事部門の収益が超えると感じた社長は、別会社に移し、今日では不動産部門も地方都市の駅前立地に貸しビルを所有し、立派な2部門の会社にされました。
朝日厨管工業は設備工事・技術力と人材力、不動産賃貸業のアサヒ不動産は財務力と全くノウハウが違っているのです。
「この土地は ご先祖様から預かっているわが社の土地です」
次の事例は、
ある地方都市の市中で、古くから問屋業をなっている会社で、近くに高速道路が施設されインターチェンジの近くに大型流通団地が出来たので、そこへ移ることになりました。
政府系の資金を利用して、流通団地に投資進出したのですが、売り上げ規模から言っても過大投資になるので、私は本店の売却を進めたのです。老齢にさしかかった四代目の会長さんが、上記の言葉を私に云われたのです。
「先祖伝来の我が土地を手放すわけにはいきません!」
先祖伝来の長きに渡って所有している土地を自分の代で手放すのは、ご先祖様に申し訳ないと言うのです。
「そうですか。いつから所有されているのですか? 平安時代の千年前の時代からですか?・・・・・」と冗談に質問したくなったのですが・・・・・
しかし、皆さん 土地の固定資産税率はいくらかご存知でしょうか?
63年間、毎年支払ったら100%になり、なんのことはなくお国から借地しているようなものです。そして、売却して、売却益が出ればまた、購入した方も不動産取得税がかかっており、全くと言って国は取っていくのです。
土地を所有するかより、それを元に1.6%いや3%利回りはある様に稼がなければならないのですぞ!
事業用土地を購入するか、借地するかの択一を迫られた時、私は借地でいけないかと考えます。
土地購入 キャピタルコスト(多額)資産となり銀行借入 土地借地 ランニングコスト(少額)経費として計上 |
土地購入の場合、土地は資産勘定として資産の部に残り、当然、減価償却できず、銀行借入で調達し、毎年 その金利と元金返済が生じます。
私との問答で、毎年1千万円の借地料が発生している賃貸物件を地主が1億円で買ってくれ!との依頼があった時、10年で1億円支払っているのだから、買ってしまいましょうよ!と言われます。
毎年1千万円の借地料を支払っていれば10年で確かに1億円となります。しかし、銀行から借金してみて10年で回収できるでしょうか?
1億円返済しようと思えば、毎年納税後純利益として1千万円捻出しなければなりません。土地は減価償却がありません。
1千万円の純利益の前に50%近い税金を支払ったあとのおカネで固定資産税も考えれば、2千万円は必要なのです。よって、10年ではなく20年かかるのです。
自社の銀行口座に1億円が寝ていれば反対はしませんが・・・
あらゆる事業を学んでいると、業績が年々増加してくると拡大のため、種々土地の使用が必要となってきます。
そのために郊外の農地の借地交渉が必要になってくるのです。私は迷わず借地交渉に入ります。その土地が農地であれ、住宅であれ地主は喜んで売ってはくれませんが、貸すことにより収入が有るということは地主にとって大きな魅力となります。意外と簡単です。
農地などは1反(300坪)2千円で借りれば、農家としては米の収入を超え、絶対に得になります。一人の農家が貸せば皆、こぞって貸してくれる実例もあります。
やがて、それが10年~20年も過ぎれば各家で相続が発生し、売って相続税の支払いが出てくるので、借地権、営業権、地上権が発生し、実に安い金額で自社所有ともなるのです。
長い歴史のある企業は確かに、土地所有しているが最初から高い金額で購入ばかりしているのではありません。