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戦略・戦術

第13話 「後継者に金を貯めさせよ」

強い会社を築く ビジネス・クリニック

  経営のお手伝いをしている中でこういう場面によく出会う。
 
 「新会社を発足させるので出資金が要る」
 
 「自社の株を父から購入する為の金がいる」
 
 「別会社を買収する。買収資金(株購入)を出さなくてはならない」
 
 こんな場面で事業継承者が金を持っていないのである。
 「なんでないんだ!」と私が叱責する
 
 「だって私の給料これだけですよ、何で金がたまるんですか!」
 
 社長に「息子が金を貯めていないが、彼のために金をどこかへ積んでいないんですか」と伺うと、
 
 「やってませんよ。子供には節約を覚えさせろとおっしゃっているのは先生じゃないあですか」
 
 私は中小企業経営者が会社で、そこそこの利益が出るのであれば、社長本人の給与水準が高いこと、妻名義で給与を取ること、会社名義の社宅に住 むこと、私的費用を経費参入させても、わたしは目を瞑り、よしとしている。
 
 それは、経営者には「マサカという坂がある」その時のために「ファミリー一族で準備基金(ファンド)」を備えておかなければならないと考えて いるからである。
 
 一族一家が贅沢をする為ではない。高級な車や家や高価なお洒落をする為でない。
 
 例えば、会社で2億円の土地を購入してそこへ1億円で工場を建てる場合、3億円を全額銀行借入をする方法をとるのだろうか。
 
 経営者はなんでもすぐ銀行に借りればいいと発想されるが、私は、経営者の金も貸し付けたらどうだと言いたいのである。
 

 後継者もお金を貯めなければならない。
 
 たとえば、会社から月給として150万取る。そして貯蓄性の口座へ100万預金する。20万円は生活費に、30万円は保険・税金で出て行って しまう。月100万円ためれば年間1200万円、5年で6000万円になる。合法的に源資が確保される。
 
 そこで、例えば、社長から自社株式を購入することもできる。
 
 株式株券が後継者のところへ入り、金は社長の所に入る。後継者は20万円では生活できないと言うが、社長の得た月々の給与や株式売却代金で社 長夫人は息子の妻の所へ現金で月々生活費を援助すればよいのである。子会社設立の出資金は貯蓄用口座から出せばかのうである。
 
 後継者は、給与を定期に積み立て基金(ファンド)を作る。そのために給与の80%を積むのである。(出資の証拠を明らかにしておくこ と)
 
 贈与税がどうしたとかこうだとかいうが、現金で動けば当局は補足できない。

 

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