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社員教育・営業

第12号 “製造業”のための全員営業の活用法【実践編】

社長のための“全員営業”

〝製造業”の営業強化は、片翼では飛び立てない。

 

 第12回コラムでは、前号の問題提起をもとに、どうすれば、製造業が抱える営業上の落とし穴にはまらずに、会社の業績向上につなげられるかを全員営業の視点からお話します。

 製造業で、昔から変わらずある通説が、営業と製造は仲が良くないという話です。当らずと言えず遠からずで、確かに、各部門のキーマンに個別に詳しく話を聴くと出てくるのは、次のような類です。
 
 営業現場からは、「売上が厳しいのは、商品が少し決め手にかけるから(強い商品さえあれば…)」
 
 製造現場からは、「営業力が競合より、やや弱い点がある(他社の方が業界で有名で、大きい…)」
 
 しかし、これは一見理屈が通っているようで、実はまったくの逆です。
 
 もし、営業現場が言うように、もっと強い商品があるならば、営業力は関係なくなるので、営業力が左右しない商品でないと自分たちは売れないと言っているに等しいのです。
 
 また、製造現場が言うように、お客様は会社が有名か大きいかで決めるならば、あなたの会社の備品や自宅にある商品は、なぜ、すべてが業界№1のものにならないのでしょうか?
 
 結局、お客様は、会社が作っている商品そのものでなく、その効能であり、価値を判断して買っているのです。
 
 ゆえに、自社の営業で先ず考えないといけないことは、営業が苦戦している状況の原因以上に、果たして、自社の商品や技術・開発の価値を、相手に正しく伝えきれているかどうかにあります。
 
 では、ここで質問です。(紙面の関係で営業部門に対しての質問だけします)
 
 ・御社の営業部門は、自社の製造現場や商品のことをどれだけ知っているでしょうか?
 
 ・製造現場や開発現場や工場があれば、そこに足を踏み入れたのは、いつが最後でしたか?
 
 ・業界経験が20年あるといっても、技術部門3~5年の若手社員と比べても、具体的な専門
      知識や最新トレンドの把握はいかがでしょうか?
 
 でも、商談相手には、言ってますよね。「わが社は商品(技術力)に自信があります」、「うちに任してもらえれば間違いないです」と・・・
 
 製造業で、営業部門が独立している会社が、教育研修や流行りの経営ノウハウにとらわれてしまうと、本来、長期的に会社を強くしたければ、技術力・開発力・企画力と連動して商品・サービスの提供価値を上げる営業強化をするべきなのに、表面上のことしかやらなくなります。
 
 かといって、営業部門全体に、即席栽培で、多数ある商品の詳細な知識を植え付けようとしても難しいですし、営業マンが電気工学や設計技術を一から勉強するのかというと現実的ではありません。
 
 ゆえに、製造現場をモノ作りに留めるだけでなく、営業戦力化することが必要となるのです。
 
 この営業戦力化は、製造部門にとっても、商品・サービスに新しい価値や本来存在している効能を、お客様に提供するコトにも通じるメリットを生みます。
 
 さらに、会社内で、製造部門と営業部門の間で、相互理解が深まり、部門間のいびつなパワーバランス等も改善され、会社全体の雰囲気や風通しすらよくなります。
 
 実際、それを行った私の指導先では、営業戦略や時には営業現場において、製造部門が営業部門への協力支援体制をとって動くようになったことで、今まで新規契約は上限が数百万~1千万円単位だったのが、億単位の契約にステップアップした例や、企画・開発関連商品の契約で、納期や値段交渉が営業任せだった頃に比べ急激に改善され、利益率が2倍に跳ね上がった例などがあります。
 
 製造業の経営者は、技術力や商品品質の良さで勝負していこうとする会社であればあるほど、営業強化が課題であっても、営業部門単体で考えてはならないのです。
 
 それはまるで、鳥が、片翼だけをいくら強く振っても、飛べないのに似ています。営業部門という右翼と、製造部門という左翼を同時に連動して、はばたいてこそ、初めて真の営業強化につながり、大空に飛び立つことができるようになるのです。
 
今回のポイント(〆の一言)
製造業では、営業部門と製造部門が連携できるかどうかが、真の営業強化の源泉である。社員教育で戦略知識や営業テクニックを学ばせても、提供する価値で勝負できない製造業は、必ず利益率が下がる。
 

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