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- 第26号 親族社長のための全員営業の活用法【実践編】
第26回コラムは、親族社長が社員全員をまとめあげて営業力を発揮するために、親族の取締役との連携についてお伝えします。
親族社長と親族の取締役との関係性は、親族社長に、ある質問をすれば一発でわかります。
「最近、2人きりで食事にいったのは、いつですか?」
社長によっては、管理職や現場社員とのコミュニケーションについて、常日頃から意識して自ら働きかけている人もいます。
一方、取締役とのコミュニケーションは、会議や打合せのみというケースを数多く見かけます。
そのような会社の社長に話を聴くと、取締役とはかれこれ20年以上の長いつきあいだし、お互いのことも良くわかっているから大丈夫という考えです。
この論法でいけば、親族の取締役とは、50年近くの人間関係だからということになるのでしょう。
しかし、社長であれば、管理職や現場社員から、会議や打合せといった公的な場で出てくる意見と、会社から離れた酒席で出てくる意見とで、まったく違うことがあるのを、誰しも経験しているのではないでしょうか?
もし、親族社長と親族の取締役とが、かれこれ半年あるいは一年以上も、2人でひざを突き合わせて話をしたことがないというのであれば、経営の方向性や諸問題に関する本心以前に、会社でのお互いの立ち位置や言葉遣い等の態度面についても、腹を割った意見交換をまったくしていないということになります。
そのような状況が、5年~10年と続いたとすればどうでしょうか?
以前、ある会社で打合せ中に、社長(兄)と専務(弟)が、意見が対立して私の目の前で口げんかを始めたことがありました。
最初は仕事の話だったのが、途中から次のような話になっていきました。
「お前は昔からいつも・・・」、「そういう兄貴こそ・・・」
親族社長と、親族の取締役との関係性がうまくいってないとすれは、その原因は、経営の考え方が違うという表向きの理由だけでは測れないのです。それは一朝一夕に起こったことではありません。特に兄弟の場合、会社や仕事以前に、物心ついた時からの数十年の積み重ねからきている場合があります。
「社員は宝」
「社員は人財」
「社員は家族」
・・・という立派な言葉で、会社(社長)と社員との関係性を飾ったとしても、最も身近で関係性の深い親族の取締役との間に問題があるとすれば、その言葉が空虚なことを社員は見透かします。
会社の人間関係を良くしようとして、親族社長が社員とランチや食事にいくのも良いでしょう。しかし、経営の変革期においては、まずは親族の取締役こそ一緒にいくべきなのです。
なぜなら、中小企業で、各部門間の連携を図るには、役員間の意思統一とコミュニケーションの向上は必要だからです。そして、親族社長の会社で、その際、最も重要なキーとなるのは、親族の取締役なのです。
・今回のポイント(〆の一言):
親族社長にとって、親族の取締役との関係性は、社内の人間関係と部門間連携を映す鏡である。