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社長業

第68回 高くても買っていただける商品・サービスの根本思想

繁栄への着眼点 牟田太陽

※本コラムは2025年3月の繁栄への着眼点を掲載したものです。

 新春 全国経営者セミナーにてブリヂストンの元CEO/社長の荒川氏にご登壇いただいた。その講演終了後の控室で荒川氏はこんな話を力説された。

 「流石に三日間参加されている方々の熱意は凄かった。これからは、皆さんみたいな光るモノを持った中小企業にもっと光を当てるべきだ。大企業が利益を出すために中小企業が抑えられる時代ではない。良いモノを高く買い取る。そして社員の給料を上げていく。労働人口の7割が中小企業で働いているのだから。その結果、大企業の業績が少し落ちようが、日本全体で見たら国力は絶対に上るはずだ」。

 この言葉に私は完全同意である。

 値決めとは経営そのものである。

 私の嫌いな言葉に、「価格の優等生」という言葉がある。その代表的なのが鶏卵である。地域差が若干あるが、5年平均で1㎏あたり約216円だ。先日、その価格が鳥インフルエンザによって250円を超えたと報道された。まるで優等生が不良にでもなったかのような報道には違和感を覚えた。価格とは変動するものではないか。

 250円の中には、人件費も飼料代も入っている。我々のお客様には養鶏をやられている会社も多い。養鶏だけではない。牛や豚、生き物を扱う仕事の大変さもよく分かる。本当に頭が下がる想いだ。

 昨年の米問題もそうだが、生産者が赤字を背負う仕組みに問題があるのではないか。

 交通網の発達によって、食品だけではなくさまざまな物が海外から入ってくるようになった。会社は、世界中のモノを比較して、機能であったり、品質であったり、価格であったり、納期であったり、優れたモノを仕入れるようになった。それをグローバル化と言った。

 ただ、デフレ下になりその言葉の意味は変化をしていった。機能、品質、納期などをすっ飛ばし、「いかに1円でも安く仕入れるか」という価格合戦の時代に突入をしてしまった。その結果、グローバル化の名の元に多くの中小企業が苦しむことになった。「同じ製品を中国の会社が半値で作っている」などという強迫じみたことを言われ、赤字ギリギリの価格で作らなくてはいけなくなったなどという会社を多く見てきた。

 もはや、中小企業が何かを犠牲にしたり、我慢を強いられたりする時代ではない。でなければ日本は終わる。

 今一度言うが、値決めとは経営そのものである。高くても買っていただくためには、お客様だけでなく、社会からも認めてもらえるような経営をしていかなくてはいけない。

 大阪にあるフジ住宅では、「売りっぱなしにはしない」という創業者である今井会長の考えの元、自社で住宅を建てていただいた方に毎年パンを配達してご挨拶にうかがう。その数は5万軒という。そのための設備があり、そのためのスタッフを用意し、そのためのユニフォームを作り、年間コスト約5億円をかけて取り組んでいる。そのパンを楽しみにしているお子さんが多いという。

 永くやっていると最近では、「小さい頃に、フジ住宅のパンを楽しみにしていました」という新入社員が入ってくるようになった。フジ住宅では、お客様の3割が紹介で来られる。

 イベントを開催したり、他社がやらないこと、やりたがらないことをやったり、社会の問題を解決するようなことをやったり、地域に密着したり、自社で完成品を作ったり、尖った商品を作ったり… こういった差別化を一つでも二つでもやっていかなくてはいけない。まだまだ、打つ手は無限にある。

 まずは、価格に対する考え方を今一度見直すところから始めてほしい。

※本コラムは2025年3月の繁栄への着眼点を掲載したものです。


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