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- 第45回 社員の幸せを考えるブレない経営とは?~事例:チックフィルエー
~会社のルールには意味が不可欠!!~
チックフィルエー (Chick-fil-A) は、ジョージア州カレッジパークに本社を置く鶏肉料理に特化したレストラン・チェーンでアメリカで何とKFCを抜いてチキン・ファストフード・チェーン売上げNO1の企業です。
同社は、アトランタに本社を持ち、目玉商品であるこんがり焼けたフライドチキンがパンに挟まったチキン・サンドイッチを売りに、今や全米に1900店舗(FC含む)以上を展開(売上げ60億ドル(約6000億円)するまでに成長しています。
実はこの会社、売上げもさることながら、顧客満足度で、全米ナンバーワンのファーストフード店にも選ばれたことがあるのですが、その訳は、同社創業者兼会長のS・トルエット・キャシー (S. Truett Cathy) の考えで実施するルール日曜日休業の意味が現場に浸透し、現場士気を向上させているからなのです。
~日曜閉店には利益を生み出す多様な販売手法が必須!!~
創業者キャシーは、1946年一号店をオープンしたときから日曜は休むことをルールに定め、そのルールはフランチャイズ店舗も遵守することとなっています。
なぜなら同社の創業が、日曜の家族や友人と過ごす時間や礼拝の時間を仕事で失うようでは会社に存在意義はないと創業者キャシーは確信を持っているからです。
外食企業において日曜休業は売上げを失うことでもあるのですが、
このルール(日曜休業)を可能にしたのは、同社が時代の先駆者(単独出店、ドライブスルーオンリーワンショップ出店、サテライトランチカウンター)となって戦略化した独自の多様な販売手法(以下)が日曜休業でも売上げを伸ばすことに成功したからといえます。
<チックフィルエー独自の多様な販売手法とは?>
・ショッピングモール出店: ショッピングモール出店に絞り集客の安定を目指す(300店以上)
・単独出店:便利でアクセスの良い交差点でドライブスルー付帯店舗(1350店舗以上ショッピングセンター出店が主な外食において1986年開始)
・ドライブスルーオンリーショップ出店: 便利さ訴求のためドライブスルーのみ店舗(31店舗)
・Dwarf Houseフルサービスレストラン出店: 持ち帰りカウンター、ドライブスルー、フルサービスレストラン全ての用途対応(現在アトランタ地域のみ)
・Truett's Grill出店:カウンター、フルサービス、ドライブスルーフルサービスレストラン
(50年代(創業当時)風ダイナー形式ユニークな内装でメニュ-は、チックフィルエーとDwarf Houseフルサービスレストランと同店特製を提供)
・Truett's Luau:ハワイのシーフード(マヒマヒ, アヒツナ, タラ, カラマリ、シュリンプなどハワイ名産)新業態2013年1店舗オープン
(既存の人気メニューChick-fil-A® Chicken Sandwich, Chick-fil-A Chick-n-Minis™, Waffle Potato Fries® and hand-spun milkshakesも扱う・・起業家への起業機会サポートの業態として)
・ライセンス店舗: 大学病院空港オフィスなどにChick-fil-A商品をライセンス契約にて販売(約300店舗以上 )
・サテライト/ランチカウンター:早いサービスを必要とする場所で(オフィスビルディングや交通量の多い場所など)ランチのピーク時間に店舗展開(9店舗)
チックフィルエーの強さとは、
*素材を絞った(チキン)メニューの先駆者でありつつも
*出店の可能性を多種多様につくり
* フランチャイズ(加盟店)モデルを導入することで、
創業時のルール(日曜休業)を遵守しながらも、
平日だけでの売上げアップを可能にする会社を成長させる仕組みを構築したことなのです。
~チックフィルエーで働く充実感は日曜休業にリンクする~
ファストフードのメニューといえばまずハンバーガーであった時代、創業者キャシーはチックフィレイの主力メニューとなる、鶏胸肉のフライをバンズにはさんだチキン・サンドウィッチを発明しました。
それは同社のスローガン
"We Didn't Invent the Chicken, Just the Chicken Sandwich"
(「我々はチキンを発明しなかった、チキン・サンドウィッチを発明しただけである」)の言葉通り、
この発明こそが、共働きが多くなる時代に、ハンバーガー以外のファストフード(食事を素早く提供する)を欲している消費者のニーズを解決したのでした。
同社は商品の発明だけではなく、同時に自社の経営理念(下術)を定め現場に日曜休業というルールに照らし合わせ、そこに存在する会社の存在意義こそが現場のゴールであると示しています。
<チックフィルエーの経営理念>
” Be America's best quick-service restaurant.”(アメリカで最高のクイック(ファストフード)サービスレストランになること)
<チックフィルエーの存在意義>
"To glorify God by being a faithful steward of all that is entrusted to us. To have a positive influence on all who come in contact with Chick-fil-A.”
(“チックフィルエーと共に歩み(=チキンサンドイッチを販売することは)、
日曜のお休みを大切な行事(礼拝や友人、家族との時間)で過ごすことは、
即ちポジティブ(健全な、幸せな、働いてよかった)な影響を私たち(全社員)は受け取るのです。”
~チックフィルエーの現場が共有する“期待を超える共通言語”~
1946年創業のアトランタ大都市圏の企業チックフィルエーは、1997年以来毎年アトランタで開催されるカレッジ・フットボール・ゲーム「ピーチボウル」のタイトル・スポンサーとして知名度をアップさせ、2006年にはピーチボウルという名は「チックフィレイボウル」と改名されるまでになり、現在会社として一つのブランドを構築するまでに至りました。
が、チックフィルエーが「顧客満足度」でNO1に何度もランキングされるその理由は、会社の知名度ではなく、現場が以下の共通言語を共有し、その結果、現場が会社で働くことにプライドを感じているからです。
<共通言語IT‘S MY PLEASURE(どう致しまして)>
"It's my pleasure" Those three words may seem so small and so trite, but I believe if more people could truly take pleasure in what they do, they would be transformed.
(“どう致しまして”この言葉は使い古された言葉です。が、多くの人々が、自身が行動する際“どう致しまして”と自身に問いかけたら、自らが変わることができるのです。)
現場が自然に"It's my pleasure"(どう致しまして)(ファストフード業界の接客では使用しないフレーズ)を共有言語として使えるようになったのは、現場が日曜休業というルールによって自身が働く意味を考え、働くことに(お金以外の)意味を見出しているに他ならないのです。
チックフィルエーHP(英語)<存在意義・・いかに与えるか?>