明治の醸造家8家が合同して、野田醤油(株)を設立したことが始まりです。
同社が製造する国民全員の必需品ともいえる醤油は創業後も人口増によって売れ続けていました。
が、日本全国に醤油が行き届いたとき、同社の現場は「人口の伸び以上に売上げは伸びない!」という事実を認識、この事実に対応すべくアメリカに販売会社を設立(1957年)するという挑戦を戦後間もない復興の時期に日本の会社キッコーマンは始めます。
キッコーマンが、昭和初期に多発する労働争議解決へ向けて制定した社是『産業魂』(以下)の会社の目的とも言える文言
人間と人間との互助・相愛の確立は現場ベクトルを一つにし、アメリカ進出を後押ししたのでした。
~キッコーマン社是『産業魂』~
「経営の目的は国家の隆昌、国民の幸福増進。
人間と人間との互助・相愛の確立が経営の根本」
~企業風土を伝統と革新性で戦略化すれば市場を開拓できる!!~
キッコーマンは、しょうゆのトップブランドとして江戸時代から日本の食文化の発展を支えてきました。
同社の企業風土とは?
一言で言うと「長い歴史に培われてきた「伝統」と、常に時代を洞察する「革新性」を重んじること」 です。
創業以来100年もの間、醤油一筋で商売を行ってきたという伝統は、現場の会社に対する信頼を生み、戦後間もない日本の会社が、アメリカで醤油という商品で市場を開拓する!意気込みになりました。
キッコーマンの強さとは、多くの老舗企業とは違う企業風土
つまり
伝統=醤油を売ることにはこだわるが、
革新性=醤油の使い方にはこだわらないを戦略化したことだったのです。
~革新性を具体化すればマーケットは開拓できる!!~
キッコーマンの醤油は世界100カ国で愛用され、海外に7つの生産拠点を持つまでに成長、売上高の46%は海外事業とも言われています。
同社は、今醤油の使い方にはこだわらないという革新性を武器に、海外で醤油の存在を知らないマーケットに醤油の使い方を次の具体化した手法で伝えています。
・ デモンストレーション
店頭でお肉に醤油を塗って、ジュと焼き、そのおいしい香りで人を集め、
試食を提供し、商品購入を促す
・ レシピ開発
醤油が使えるテリヤキソースを開発し、相手国の料理を引き立たせるレシピ提案で商品購入を喚起
同社は、その国の食材や料理をリスペクトすれば、最も適した形で醤油を調味料として売ることができると確信、現場とは常に醤油を売るのであり、日本料理に使う醤油を売っているのではないことも共有しているのです。
~先見の明と普通では考えられない挑戦が会社を存続させた!!~
「1957年に“アメリカに進出し醤油を販売する”という
先輩たちの先見の明がなかったら、今のキッコーマンの存続はなかった。」
キッコーマン社長堀切氏は、こう語り、
同社の存続のキーワードに先見の明と共に普通では考えられない挑戦を挙げています。
キッコーマンの
・ 普通では考えられない挑戦
=ノウハウがないつゆ・タレ市場(大量生産)への進出 は
社内につゆ・タレのノウハウを蓄積させ、
その後の本つゆ・タレの市場参入は
・ 先見の明
=共働きが増え、手抜きだと思われない料理ニーズが増える へ向けて
ヒト手間でおかずが完成する
新商品「うちのごはん」(冷蔵庫にある具材と合わせる和風料理の素)開発のタレに寄与、その結果さまざまなブランドへの波及は、キッコーマンを存続への道へと導いたのでした。
これまでキッコーマンがこだわり続けた醤油市場は国内では毎年縮小傾向にあり、今キッコーマンは「グループビジョンを2020」を定めることで、醤油をグローバルスタンダードにしよう!と会社の現場ベクトルを一つにして動いています。
<キッコーマングループ「グローバルビジョン2020」>
1. キッコーマンしょうゆをグローバルスタンダードの調味料にする
2. 食を通じた健康的な生活の実現を支援する企業となる
3. 地球社会にとって存在意義のある企業となる
「つゆ・タレ市場に参入しなければ、醤油だけの売上げだった。」
この恐ろしい事実を克服できたのは、キッコーマンの企業風土である伝統と革新性を軸にした上での先見の明と普通では考えられない挑戦の賜物だったのですが、これからキッコーマンがすべきことは企業風土である伝統と革新性を武器に、普通では考えられない挑戦と先見の明を駆使し、地球社会にとって存在意義のある会社になること なのです。
キッコーマングループHP(日本語)<経営理念>