世界同時不況の影響は、日本でも非正規労働者の派遣切りに始まり、
正社員の削減や新卒定期採用の大幅削減へと広がっています。
有効求人倍率が低下して買手市場のようですが、中小企業の採用や後継者問題に関しては大きく改善していません。
経営上の外部要因の改善は景気回復を待つしかないですが、
内部要因はこの環境下でも着実に改善してゆかねばなりません。
現下の状況はどうであれ、職業選択がこれだけ自由な時代になっては、中小企業経営は
「継がせる」というよりも「継いでもらう」という視点から、経営者が環境づくりに努力することが大切です。
日本は「年収300万円時代」などといわれるようになり、生涯サラリーマンでは報われるかどうか見通せない社会になりました。
同時に、中小企業経営者の処遇も将来を見通し難いものになっています。
そこで、後継者候補に「中小企業経営の後を継ぐこと」が、人生の夢や生き甲斐という自己実現は勿論、
年収など経済面で充分に報われることを明確に伝え、その準備をすることが事業承継の出発点になります。
日本経済が、右肩上がりから人口減少による右肩下がりの時代に入っても、皆様の後継者候補はライフプランを
明確に描けるでしょうか、また、その前提条件である企業の将来ビジョンが描けているでしょうか。経営者としては、
「ビジョン(夢)」と「処遇(現実)」の双方を示して、上手に継いでもらう環境づくりをしておきたいものです。
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