それはカスタマーハラスメントではありません!⑩
『これを棄てろっていうことか!』《2部/4部作》
もう何十年も、お客様が激高することがわかりながらも、「製品が古いので部品が手に入らない」とお伝えすることは、変わっていないのです。
何年も前の部品が保存され続ける対応は積極的に取り組まれていないのです。それはなぜか。企業に不利益が発生するからです。いつ出荷できるかわからないほど古い製品の部品を保管すること、そんな部品が膨大な数量、保管されている状態を想像してみてください。その保管場所の地代の問題、管理をする係の人の給料の問題、また、長期間保管していることで、劣化するその部品の品質の問題、それらを加味すると、際限なく部品を保管し、供給することはデメリットが大きすぎると企業は判断しているのです。この判断は、一概に消費者にとって不親切な判断だとは言えません。ただし、長年使っている機械製品の故障が、小さな部品を取り換えるだけで解消することが見えている消費者にとっては、部品がないので、修理ができない、買い替えるしかないという話は、理不尽な話しにうつると考えておくことも大切です。そういう消費者の思いもおかしな言い分ではありません。
しかし、企業にないものはないので、「部品がないので修理はできない」ことを担当者はお伝えすることになります。そうするとほとんどのお客様は、「じゃあ、私にもう、この機械は捨てろっていうのですか!」などと言ったりするのです。「じゃあ、この機械が使えないということは、私はどうしたらいいんですか!」などとも言ったりするのです。そんなことを、電話対応をしている担当者に吐き捨てても仕方がないことを頭の隅で分かっていても、担当者が困る言葉を言うのです。これがまさに『客の口滑り』ですね。想定外の対応に感情が抑えきれずに、意地悪な言葉が口をすべって出てしまうのです。
それぐらい、このお客様にとって、企業の返答は想定外だったということです。なにしろ、企業は、たった一人のお客様さえも大切にしますと印象付けるようなイメージの広告を日々、打ち出しているのですから、このお客様としては、こんなに困っている私に対して、たとえ私一人だけのための対応だとしても、企業は、前向きに対応をしてくれるものだと想定して連絡をしてきているのです。
ところが、「部品が手に入らないので、修理対応ができません」という想定外の回答に、一瞬、驚いてしまうのです。そして「じゃあ、これを棄てろっていうの!」「じゃあ、明日から私はどうしたらいいんですか!」と、担当者が答えられない答えを求めるような口滑りをしてしまうのです。
カスタマーハラスメント客の代表的なタイプは、企業に困る対応を求め、企業がお断りしているのに、何度も求める態様の客のことですから、暴言をひとこと吐いた瞬間の相手は、まだ、カスタマーハラスメント客ではありません。企業としては、いくら、言葉を選んで気遣っても、お断りする結論はゆるぎませんので、相手が簡単に納得して明るく解決できる可能性は低いことを、折り込んだゴールを目指して、対応するべきなのです。
次回は、その場面に用いるトークをご紹介します。
























